「美食の国」フランスの誕生
ガストロノミーが作ったおいしい歴史
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空腹と心も満たす食の歴史を召し上がれ!
「フランス=美食の国」というイメージはどう定着したのか。 「食べること」への思いが作り上げたフランスの豊かな食文化の歴史をひもとく。
2010年にフランスの「美食術」が、2022年に「バゲット」がユネスコの無形文化遺産に登録された。 「フランス=美食の国」というイメージはいつ、どのようにしてできたのか。その背景を探るべく、本書では19世紀から20世紀にかけてのフランス食文化の展開を辿る。 革命を経てレストラン黄金時代が到来したパリは、スターシェフと美食家たちの情熱によって「美食の都」として揺るぎない地位を築く。その後、技術革新や社会情勢の変化を経験しながら、食に対するまなざしも変容する。「地方振興」と旅行の普及は、ガイドブック誕生と地方料理の再発見を促し、フランスを「美食の国」へと押し上げた。 そして「ガストロノミー」と呼ばれる食を題材とした言説は、「美食の都」から「美食の国」への変貌をリアルタイムに描き出してきた。高級フレンチと素朴な地方料理、どちらの魅力も併せ持つフランスの、豊かな食の旅へと出かけよう。

はじめに――フランスはなぜ「美食の国」なのか
第1章 フランスの「食の革命」 1 一七世紀――「フランス料理」イメージ形成の第一段階 2 一八世紀――近代以前のフランス料理の「美」の頂点 3 レストラン誕生のきっかけ Column 1 「砂糖」が身近な調味料になるまで
第2章 レストランの誕生――ガストロノミーとスターシェフ 1 レストラン黄金時代 2 ガストロノミー――「食べること」を書く 3 時代を彩る「スターシェフ」たち
第3章 美食の発展を支えたものたち― ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
梶谷彩子(かじたに・あやこ) 2011年お茶の水女子大学文教育学部仏語圏言語文化コース卒業、2019年同大学大学院博士後期課程修了、人文科学博士。 現在、お茶の水女子大学基幹研究院研究員。東京都立大学・法政大学・お茶の水女子大学などで非常勤講師を勤める。専門は近代フランスの食文化論。 論文「近代フランスにおける美食ガイドブック――「旅における食」へのまなざしの変遷をめぐって」(『余暇ツーリズム学会誌』第9号、2022年3月)で余暇ツーリズム学会2022年度論文表彰を受賞。
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