近代オスマン帝国における国家医療の誕生
湾岸都市イズミルの衛生と感染症
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地方都市から大帝国を考察する新たな医療史研究
20 世紀転換期、ヒト・モノの交流・流通が活発となるにつれ、コレラや感染症の パンデミックが世界を襲う。 大帝国オスマン帝国もまた、衛生・医療制度を改革する必要性に迫られていた。
帝国随一の湾岸都市であり、国際商業都市であったイズミルに着目し、 大帝国がいかに「地方」から医療・衛生制度を近代化していったのか――。
多彩な新資料や図版をもとに、都市社会史の手法を用いて国家医療の形成を丹念に詳述する。
序章 近代オスマン帝国と医療・衛生・地方社会
第1章 19 世紀後半における地方医療・衛生行政の改革
第2章 清潔で近代的な都市へ ―近代イズミルにおける都市行政と公衆衛生
第3章 新たな医学知と衛生対策の変容 ―20 世紀転換期イズミルにおけるコレラ流行
第4章 地方における国家医療の代理人 ―市行政医の職務
第5章 行政医の苦難と抵抗 ―近代オスマン帝国における医療の専門職化
終章 地方から見えるもの
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著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
鈴木真吾(すずき・ しんご) 1988年滋賀県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(史学)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)。専門は近代オスマン帝国史、医療・衛生史。主な業績に「近代オスマン帝国における国家医療の形成と市行政医―19世紀末―20世紀初頭イズミルにおける医療・衛生体制」(『史学』90巻4号、2022年)、「19世紀末から20世紀初頭イズミルにおけるコレラ対策の変容と継続―近代オスマン帝国における衛生政策と地方社会」(『史学雑誌』133編3号、2021年)がある。
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