老いる社会、誰が責任を負うのか
14億の民、2.8億の高齢者を抱える巨大国家は現在、経済・人口・財政面で三重苦に直面している。特に、国の安定を左右する社会保障をどう持続していくかが今後の重要な課題だ。インシュアテック、ヘルステックなど最新デジタル技術を擁する民間企業を巧みに巻き込みながら、大変貌を遂げつつある中国社会保障の知られざる側面を解説する渾身の力作!
・この数年、デジタル技術の急進展とともに格段の進化を遂げ、世界における保険市場のプレゼンスを高めた中国の社会保障制度。 その実相を把握した上で、社会保障制度と民間保険が中国の人民の「安寧」にどう貢献しているのかを丁寧に解説する。 ・中国では少子高齢化とともに、国がデジタル化を積極的に推進している。社会保障制度を支える民間保険・保障分野も同様に進展が著しく、フィンテック、インシュアテックといった分野において、日夜新たなスキームが次々と誕生している。本書ではプラットフォーマーによる金融事業、その中でも特に潜在成長性の高い医療保障分野とデジタルテクノロジーの融合について、その利点と課題を整理し、今後のさらなる成長可能性について解説する。 ・急速に普及したネット互助プラン「相互宝」についても詳しく解説する。
序 章 14億人を擁する国家の現状 第1章 中国の社会保障の実相 第2章 社会保障関係費膨張への危惧 第3章 中国の医療保障制度はどうなっているのか 第4章 世界における中国保険市場のプレゼンス 第5章 医療保障分野における官民の"見えざる"協働 第6章 デジタル化の進展と医療保障をめぐる官民の攻防 第7章 ネット互助プランが保険事業に与えた影響 終 章 デジタル国家中国の社会保障戦略――課題と論点
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
片山ゆき(ニッセイ基礎研究所保険研究部主任研究員) 1997年、愛媛大学法文学部文学科(中国文学専攻)卒業。99年、北京師範大学、中国人民大学へ留学。2003年、JETRO北京センター(中国日本商会から出向)を経て05年、ニッセイ基礎研究所入所。2023年、東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了、博士(学術)号取得。24年、千葉大学客員教授を兼任。 主な業績 『ポスト改革期の中国社会保障はどうなるのか』(沈潔、澤田ゆかり編、ミネルヴァ書房、2016年)第6章分担執筆 『アジアの生命保険市場U』(ニッセイ基礎研究所編、文眞堂、2022年)第2章分担執筆 「中国の公的医療保険制度」(査読付き)『生命保険経営』82巻5号(2014年)。同年度「生命保険経営」優秀論文賞佳作を受賞。 「医療保障をめぐる官民の攻防――ITプラットフォーマーによる新たな医療保障の提供」(査読付き)『中国研究月報』4月号(2020年)にて第17回太田勝洪記念中国学術研究賞受賞 など。
|