プラットフォームと国家
How to settle the battle of Monsters
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「怪獣化するプラットフォーム権力と法」と題する本講座は、グローバルなメガ・プラットフォームを、海獣リヴァイアサンと二頭一対の陸獣として旧約聖書に描かれる「ビヒモス」に喩えて、リヴァイアサンとビヒモスの力の対抗と、その制御のあり方を法学的に検討し、自由と民主主義の行く末を展望しようとするものである。
「最強」だったはずの主権国家リヴァイアサンは、デジタルプラットフォーム(DPF)という新たな怪獣の挑戦を受け、その絶対性を失いつつあるようにも思われる。仮にDPFを、旧約聖書に登場するもう一頭の怪獣――「神の最高傑作」と称され、「造り主をおいて剣をそれに突きつける者はない」と形容される陸の怪獣――「ビヒモス」に擬えるならば、現在は、あらゆる領域において、リヴァイアサンとビヒモスとが激しくせめぎ合っているとも言えるだろう。その衝突ないし対決は、当然、以下のような規範的な問いを提起する。 どちらの怪獣がデジタル空間を「統治」すべきか、また両者の関係はどうあるべきか。国家とDPFとの衝突ないし対立は、デジタル空間における秩序のあり方を根源的に捉えなおすよう考えるよう、我々に迫っているのである。
リヴァイアサンとビヒモスとのあるべき関係性が検討される第T巻。


本講座の刊行にあたって(山本龍彦)
提 言(山本龍彦、ポリーヌ・トュルク、河嶋春菜)
第1章 デジタル空間の統治をめぐる諸アクター T トマス・ホッブズとデジタル・ビヒモス―情報空間の混沌と「自然状態」(山本龍彦) U 国家とDPFの国際的対決と個人の保護―ビジネスと人権のアプローチから(ティティラット・ティップサムリットクン/河嶋春菜、荒川稜子 訳) V 抵抗するリヴァイアサンとデジタル主権(ポリーヌ・トュルク/河嶋春菜 訳)
第2章 デジタル空間の統治者をめぐる戦況 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
編集代表 山本龍彦(やまもと たつひこ) 慶應義塾大学大学院法務研究科教授、同グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)副所長、同X Dignityセンター共同代表。専攻:憲法学。担当:本講座の刊行にあたって、提言、第1章T。
編者 ポリーヌ・トュルク(Pauline TÜRK) フランス・コートダジュール大学法学部教授、同公法研究所(CERDACFF)所長。担当:提言、第1章V。
河嶋春菜(かわしま はるな) 東北福祉大学総合福祉学部准教授、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)客員所員。専攻:憲法学・医事法学。担当:提言、第3章U、第1章U・V訳者、第3章T監訳者。
執筆者(掲載順) ティティラット・ティップサムリットクン(Thitirat THIPSAMRITKUL) タイ・タマサート大学法学部専任講師、同日本法センター所長。専攻:国際人権法。担当:第1章U。
ポール・ティマース(Paul TIMMERS) オックスフォード大学研究員、ルーヴァン大学客員教授。専攻:地政学とテクノロジー。担当:第2章T。
荒川稜子(あらかわ りょうこ) 慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート客員所員。専攻:EU法、国際人権法。担当:第2章コラム、第1章U訳者、第2章T・U訳者、第3章T監訳者、第3章コラム訳者。
ドンシェン・ザン(Dongsheng ZANG) ワシントン大学法学部准教授。専攻:比較法、国際法。担当:第2章U。
季衛東 (Weidong JI) 上海交通大学人文社会科学上席教授、中国法と社会研究院院長。専攻:法社会学、AIガバナンスと法。担当:第2章V。
イヴ・ゴモン(Eve GAUMOND) モントリオール大学大学院法学研究科博士後期課程。専攻:法と科学技術。担当:第3章T。
カトリーヌ・レジ(Catherine RÉGIS) モントリオール大学法学部教授、カナダ先端研究機構(CIFAR)AIプログラムメンバー。専攻:責任あるAI、医事法政策。担当:第3章T。
ローレンス・レッシグ(Laurence LESSIG) ハーバード大学ロースクール教授。専攻:憲法学。担当:第3章コラム。
布施哲(ふせ さとる) 国際社会経済研究所特別研究主幹、信州大学特任教授、海上自衛隊幹部学校客員研究員。専攻:経済安全保障、防衛、宇宙安全保障、米中関係、偽情報対策。担当:第3章V。
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