フリードリヒ・シラー 自由の美学
仮象と遊戯の人間形成論
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美はいかに人を自由にするのか
18世紀ドイツの国民的詩人であると同時に哲学的医師でもあったシラーは、 同時代の唯物論的・機械論的な人間観と対峙しながら、美や芸術による人間性の彫琢を目指した。 その思想の全貌に迫るシラー研究の決定版。
18世紀ドイツを代表する思想家であり「群盗」で名高いフリードリヒ・シラー(1759−1805)は、医学、人間学、歴史、哲学、美学、文学といった多様な分野で活躍した。本書は、哲学的医師としてのシラーの歩みに着目し、「人間の自由」をめぐってシラーが紡ぎ出した思考の全貌を明らかにする。 シラーは、初期思想形成期からその思索の頂点と言える『美的教育書簡』(1795)の成立に至るまで、身体的自然のみには還元することのできない精神の自由な活動を保証し、自己形成を促進しうる媒体とは何かを考究し続けた。その「人間」研究の軌跡を辿り、有用でないものとして周縁に追いやられがちな文学や芸術、文化が人間の「自由」に果たす役割と可能性を追究する。
『図書新聞』 2024年9月14日(第3655号)(5面)に書評が掲載されました。評者は益敏郎氏(熊本大学大学院人文社会科学研究部准教授)です。
序 章 美はいかに人を形成するか 一 ドイツ啓蒙主義と自由の探究者 二 シラーの生涯と人間形成構想 三 本書の構成とシラーを繙く手がかり
第一部 哲学的医師シラーによる「人間の使命」の探究
第一章 十八世紀ドイツの人間学 一 人間学的転換 二 哲学的医師と人間学の誕生 三 「人間の使命」をめぐる論争
第二章 人間は機械か有機体か 一 心身の相互作用への問い 二 経験的な人間学の試み ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
鈴木 優(すずき ゆう) 慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻博士課程単位取得退学。博士(教育学)。現在、日本大学芸術学部助教。専門はドイツ教育思想史、シラーの美的人間形成論。 主要論文に「哲学的医師シラーによる『人間の使命』の探求」(『近代教育フォーラム』第30号、2021年)など、訳書にアルント=ミヒャエル・ノール「人間と物質的モノの出会いのなかの人間形成」(今井康雄編『モノの経験の教育学――アート制作から人間形成論へ』東京大学出版会、2022年)、フリードリヒ・フケー『魔法の指輪――ある騎士物語』(共訳、幻戯書房、2022年)、ハンス-リューディガー・ミュラー『ヘルダー人間学 その前史と展開――陶冶の感性論理学的探究』(共訳、福村出版、2023年)など。
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