フリードリヒ・シラー 自由の美学
仮象と遊戯の人間形成論

序 章 美はいかに人を形成するか 一 ドイツ啓蒙主義と自由の探究者 二 シラーの生涯と人間形成構想 三 本書の構成とシラーを繙く手がかり
第一部 哲学的医師シラーによる「人間の使命」の探究
第一章 十八世紀ドイツの人間学 一 人間学的転換 二 哲学的医師と人間学の誕生 三 「人間の使命」をめぐる論争
第二章 人間は機械か有機体か 一 心身の相互作用への問い 二 経験的な人間学の試み 三 人間学の二重性
第三章「人間の使命」のアポリアと新たな自律の原理 一 唯物論の猛々しい攻撃 二 牢獄の中の囚人 三 宗教的救済から「類」の幸福へ
第二部 歴史と人類の使命
第四章 「自由と人間性」への移行としての歴史 一 歴史への関心の高まり 二 キリスト教的歴史から人類の発展史へ 三 歴史の中に目的を見る
第五章 歴史と文学の狭間での人間形成構想 一 古代ギリシャの立法史と「人類の目的」 二 歴史を物語る 三 歴史的真実から詩的真実へ
第三部 「美的仮象」の条件と役割
第六章 「哲学する時代」における文学の使命 一 分裂・分断の時代が必要とするもの 二 ビュルガー対シラー 三 理想の文学の根本原則 四 民衆詩人シラー
第七章 近代人のための芸術構想 一 目的論的判断と経験の狭隘化 二 古代ギリシャという鑑と歴史の超越 三 芸術を通じた「回り道」構想
第八章 美はなぜ「移行」を可能にするか 一 『美的教育書簡』の移行問題 二 規定状態からの解放 三 仮象、装飾、遊戯の喜びと文化の産出
第九章 「美的仮象」の条件 一 カント主観主義の乗り越え 二 「自由の仮象」としての美がもたらす変化 三 美的経験を可能ならしめる芸術の条件 四 自然の模倣と世界の表象 五 「真実」を露わにする美的経験
結論 文化という陶冶空間と自由 一 現実からの解放――〈消極的自由〉 二 世界との新たな関係――〈積極的自由〉 三 自由と規範の狭間での陶冶
注 参考文献 索引
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