第24回大佛次郎論壇賞を受賞いたしました。
ナポレオンはどのようにして担ぎ上げられたのか
革命期に発展した民主主義を制御できなかった革命家たちは、みずから権威主義体制を望み、形成していく…… その震源となったクーデタの過程と内実に迫る
ナポレオンが総裁政府を打倒し権力の座についたクーデタ「ブリュメール18日」。本書ではこのクーデタを、ナポレオンが独裁を志向した結果として捉えるのではなく、むしろフランス革命の成果を守るために、改憲派の革命家たちがナポレオンを権力の座に引き上げた事件として理解し、革命家たちの視点に立って考察する。革命期に発展した民主主義を、思いどおりに制御できなかった革命家たちが、まさにその民主主義のなかから権威主義体制を形成していく過程を、派閥の動向、憲法、選挙制度、地方行政の改革をとおして明らかにする。
はじめに
第一章 ブリュメール派の形成――恐怖政治のトラウマを抱える集団 革命前期の展開/1795年憲法/総裁政府体制の発足/フリュクティドール18日のクーデタ/ナポレオンと軍人たち/フロレアル22日とプレリアル30日のクーデタ/改憲派勢力の結集/ブリュメール派
第二章 新体制の設立――クーデタの実行と担ぎ上げられたナポレオン ブリュメール18日の展開/ブリュメール18日の正当化/シィエスの憲法草案/主導権を握るナポレオン/1799年憲法/人民投票 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
藤原翔太(ふじはら しょうた) 1986年生まれ、島根県出身。2016年トゥールーズ・ジャン・ジョレス大学博士課程修了(フランス政府給費留学)、博士(歴史学)。現在、広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。 著作に、『ナポレオン時代の国家と社会──辺境からのまなざし』(刀水書房、2021年)、『東アジアから見たフランス革命』(共著、風間書房、2021年)、訳書に『女性たちのフランス革命』(慶應義塾大学出版会、2022年) など。
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