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環境学入門

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A5判/並製/208頁
初版年月日:2024/06/10
ISBN:978-4-7664-2957-2
(4-7664-2957-5)
Cコード:C0030
定価 1,980円(本体 1,800円)
環境学入門
法学・経済学・自然科学から学ぶ
目次 著者略歴

循環型社会、
生物多様性、
気候変動と地球温暖化。

3つのテーマ、文理の双方から考える環境問題!
「本書を手に取ったみなさんは、どのような「環境問題」を思い浮かべるでしょうか。「環境」ということばそのものはニュートラルで、対象となるものの周囲を意味しますが、「環境問題」というときの「環境」は、人間を含む生物の周囲を指します。そして、人間の活動が影響を与えている、あるいは、人間の活動に影響を及ぼしている自然や社会の変化が、見過ごすことのできない状況に至ると、それが「環境問題」として人びとに認識されるようになるのです。

 本書は、20世紀終盤から問題がより顕著にあらわれはじめて、現在も継続している環境問題である、「循環型社会」、「生物多様性」、「気候変動と温暖化対策」をテーマとして、それぞれを法学、経済学、自然科学の観点から解説しています。

 なぜ、法学、経済学、そして、自然科学なのか。

 現代国家は、法律というツールによって社会を運営します。社会の構成員である個人や企業の行動を決定づける大きな要因には、経済的動機があります。社会的にも経済的にも合理性のある政策が行われるべきですが、その政策は自然科学の知見にも裏打ちされたものであるべきです。

 科学的に実現可能なことであっても、倫理的に許されず、法律が規制することもあるでしょう。他方で、法律の目標が科学的に達成不能であれば、意味がありません。ある問題に対して有効な科学的対策があっても、採算に見合わないことは実現困難でしょう。しかし、経済性が乏しいからといって、科学的解明をあきらめるわけにはいかないのです。

 本書の読みかたは、みなさんの自由です。どこから読んでもよいし、どのような順番で読んでもよい。「循環型社会」、「生物多様性」、「気候変動と温暖化対策」のうち興味・関心のあるテーマから、あるいは、法学、経済学、自然科学のうち取り組みやすい学問分野から、読んでみてください。ところで、各章・各節の間で、内容の重複があるように見えるかもしれません。本書はあえて調整しませんでした。執筆者は、それぞれの専門分野に立って解説しています。同じテーマであっても、それぞれの専門分野から考えると、どのような説明がされるのか――本書を読むときの楽しみのひとつにしていただきたいと思います。」(本書「はしがき」から)

目次

第1章 循環型社会

1 循環型社会をつくるために法ができること【法学】
● 循環型社会とは/● 日本の循環管理法の沿革/● 循環型社会の形成にかかわる根本的な問題/● 循環型社会にかかわる環境法の基本理念/● リサイクルをすすめる法制度の仕組み/● いまの制度の問題点──プラスチック問題から考える
Column 環境政策の手法  
レポート課題・小テスト  

2 経済学からみる循環型社会【経済学】
● 本節の構成について/● 経済学からみた廃棄物/● 循環経済への取り組み ……

著者略歴 著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。

青木 淳一(あおき・じゅんいち)[編者] 執筆担当:3章1節【法学】
1977年生まれ。慶應義塾大学法学部教授。エネルギー、情報通信、交通など公益事業の規制と競争を研究している。おもな著書に『判例から学ぶ憲法・行政法(第4版)』(共著、法学書院、2014年)、『行政法事典』(共著、法学書院、2013年)、『総合研究・日本のタクシー産業』(共著、慶應義塾大学出版会、2017年)がある。趣味は道の駅めぐり。

一ノ瀬 大輔(いちのせ・だいすけ)[編者] 執筆担当:2章2節【経済学】
1982年生まれ。立教大学経済学部准教授。専門は環境経済学。経済学の視点から資源循環問題や環境法の効果について研究している。おもな著作に“On the relationship between the provision of waste management service and illegal dumping” (with M. Yamamoto), Resource and Energy Economics, 2011; ”Landfill Scarcity and the Cost of Waste Disposal”, Environmental and Resource Economics, 2024 がある。

小林 宏充(こばやし・ひろみち)[編者] 執筆担当:3章4節【自然科学A】
1971年生まれ。慶應義塾大学法学部教授。空気や水などの流れの力学、なかでも乱流、プラズマ、燃焼、量子乱流、それらを利用したエネルギー変換について研究している。おもな著作に『流体力学の基礎』(共著、数理工学社、2014年)、“The subgrid-scale models based on coherent structures for rotating homogeneous turbulence and turbulent channel flow”, Physics of Fluids, 2005; “Imaging quantized vortex rings in superfluid helium to evaluate quantum dissipation”, Nature Communications, 2023(共著) がある。趣味は野球、スキー、筋トレ。

小島 恵(こじま・めぐみ) 執筆担当:1章1節【法学】
1983年生まれ。都留文科大学准教授。化学物質のリスク管理を研究してきたが、最近は安全な食を守るという観点からも、農薬や資源循環の問題を考えている。おもな著作に『18歳からはじめる環境法(第2版)』(共著、法律文化社、2018年)、『体験する法学』(共著、ミネルヴァ書房、2020年)、「進化を続けるEUの循環管理法の基本構造」(単著、都留文科大学研究紀要第90集、2019年)がある。趣味は料理、庭いじり。

山本 雅資(やまもと・まさし) 執筆担当:1章2節【経済学】
1972年生まれ。神奈川大学経済学部教授。専門は環境経済学。おもな著作に“Is Incineration Repressing Recycling?”(with T. Kinnaman), Journal of Environmental Economics and Management, 2022がある。経済産業省産業構造審議会自動車リサイクルWG座長をはじめとして、現実の政策との接点も多い。

秋山 豊子(あきやま・とよこ) 執筆担当:1章3節【自然科学@】
1950年生まれ。慶應義塾大学名誉教授。動物の体色発現にかかわる遺伝子制御を研究している。生物学から地球生態系の持続性についても研究。主な著書に『Pigments, Pigment Cells and Pigment Patterns』(共著、Springer、2021年)、『動物の体色がわかる図鑑』(監修・共著、グラフィック社、2022年)、『生きているってどんなこと』(共著、培風館、2014年)などの他、英文論文多数がある。趣味は登山、旅行、歌唱、猫の世話。

土居 志織(どい・しおり) 執筆担当:1章4節【自然科学A】
1987年生まれ。慶應義塾大学法学部専任講師。専門は細菌の代謝や酵素。猫とビールをこよなく愛する。

林 健太郎(はやし・けんたろう) 執筆担当:エッセイ@A
1968年生まれ。総合地球環境学研究所教授。国際窒素イニシアティブ東アジアセンター代表。生物地球化学、土壌学、大気科学を専門としつつ、歴史、地理、食文化など幅広い関心を有し、持続可能な窒素利用に向けた学際・超学際研究に取り組んでいる。おもな著書に『図解 窒素と環境の科学』(共編著、朝倉書店、2021年)、『地球環境SDGsネクサス』(共著、共立出版、2023年)、『薫風のトゥーレ』(幻冬舎、2017年)がある。おもな趣味は外遊び、音楽、料理。

山崎 友莉子(やまざき・ゆりこ) 執筆担当:2章1節【法学】
1989年生まれ。弁護士(森・濱田松本法律事務所)。専門はエネルギー法(電力・ガス・再生可能エネルギーなどの関連法)及び環境法。経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課への出向経験がある。おもな著作に『環境価値取引の法務と実務』(共著、株式会社エネルギーフォーラム、2023年)がある。

林 良信(はやし・よしのぶ) 執筆担当:2章3節【自然科学@】
1978年生まれ。慶應義塾大学法学部専任講師。シロアリの社会性について研究している。

糟谷 大河(かすや・たいが) 執筆担当:2章4節【自然科学A】
1985年生まれ。慶應義塾大学経済学部准教授。菌類、特にきのこ類の自然史、系統分類や生物地理に関する研究をしている。おもな著書に『環境省レッドリスト 日本の絶滅危惧生物図鑑』(分担執筆、丸善出版、2022年)、『日本菌類百選』(分担執筆、八坂書房、2020年)、『石狩砂丘と砂浜のきのこ』(共著、NPO法人北方菌類フォーラム、2012年)がある。趣味は自然観察、きのこ狩り、山歩き、山仕事、秘湯めぐり。

坂上 紳(さかうえ・しん) 執筆担当:3章2節【経済学】
1980年生まれ。熊本学園大学経済学部准教授。専門は環境経済学。経済学の視点から気候変動と温暖化対策の経済影響について研究している。おもな著作に“Regional and Sectoral Impacts of Climate Change Under International Climate Agreements” (with K. Yamaura and T. Washida), International Journal of Global Warming, 2015がある。

宮本 佳明(みやもと・よしあき) 執筆担当:3章3節【自然科学@】
1983年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部准教授。専門は気象学。主な著作に、『台風についてわかっていることいないこと』(共著、ベレ出版、2018年)、“Deep moist atmospheric convection in a subkilometer global simulation, Geophysical Research Letters, 2013”(共著)、“A dynamical mechanism for secondary eyewall formation in tropical cyclones, Journal of Atmospheric Sciences, 2021”(共著)がある。

清家 裕 (せいけ・ひろし) 執筆担当:エッセイB
1982年生まれ。2008年環境省入省。入省後、主に、気候変動対策、各種の法令改正、水俣病対策などを担当。著作に『環境問題と法〜身近な問題から地球規模の課題まで』(共編著、法律文化社、2022年)がある。

定価1,980円 (本体:1,800円)
在庫あり

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