「大いなる過熱」の後に何が起きるか
コロナ禍を機に急激なインフレが世界を襲った。第一の原因は、先進各国の大規模な財政政策だ。第二の原因は、インフレを一時的と誤認し、サプライチェーンの寸断など供給ショックに怯えた中央銀行が利上げに出遅れたことだ。今や米国の高金利が誘発する超円安は、供給能力の低くなった日本のインフレを助長し、同時に財政インフレリスクも忍び寄る。局面打開に何が必要か。著名エコノミストが理論・歴史・政治・国際的視点から金融経済の行方を読み解く得心の一書!
・長い間、ゼロインフレと経済停滞に苦しんできた日本でも、この一、二年は、いきなり3〜4%の物価上昇が見られた。この世界的な高インフレ状況(グローバルインフレーション)と、それが日本の経済社会に及ぼすさまざまな影響、そして国際通貨としての「円」の賞味期限について、詳しく、しかしわかりやすく論じた、モヤモヤ感を解消できる納得の一冊。
・グローバルインフレと、グローバルな視点から見た日本のインフレへの影響が本書の縦糸だとすると、横糸として、それぞれの問題に関し歴史的・政治的・文化的な視点を交えた分析を盛り込んでいる。
・今後、仮にインフレが長引き、急激な利上げが必要になった時には、四半世紀もゼロ金利が続いてきたわが国では、欧米以上に金融経済への衝撃は大きいはずだ。物価高に利上げが追いつかなければ、超円安が進む恐れもある。今後どのようなリスクが想定されるか、それを回避する手立てはあるのか、といった事柄に対しても有益な示唆を与えてくれる。
『証券アナリストジャーナル』 2024年7月号「証券アナリスト読書室」(p. 105-106)に書評が掲載されました。評者は、沼波正氏(政策研究大学院大学非常勤講師)です。
『財界』 2024.2.28号「Book 必読本 著者に聞く」(P. 90) に掲載されました。
『経済セミナー』 2024年2・3月号「BOOK ANGLE/新刊書紹介」(p. 127)にてご紹介いただきました。
第1章 1ドル150円台の超円安が繰り返すのか 超円安時代の到来/1ドル150円台の衝撃/ジャンプした均衡実質為替レート/構造変化の原因を探る/好循環なのか/長期実質円安の実相/実質円高のトレンドが終わったのは1990年代半ば/「世界一物価の高い日本」から「安い日本」へ/長期実質円安の原因
第2章 グローバルインフレの真因 繰り返すショックと中央銀行の誤算/何が過去30 年の物価安定をもたらしたのか/三度のショックと誤診/一時的なショックだったのか/システマティック・エラーの中で沈む中 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
河野龍太郎(こうの・りゅうたろう) 1964年愛媛県生まれ。87年、横浜国立大学経済学部卒業、住友銀行(現・三井住友銀行)入行。89年、大和投資顧問(現・三井住友DSアセットマネジメント)へ移籍。97年、第一生命経済研究所へ移籍、上席主任研究員。2000年、BNPパリバ証券に移籍。現在、経済調査本部長、チーフエコノミスト。 財務省財政制度等審議会、東日本大震災復興構想会議検討部会、資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本問題委員会、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会、内閣府行政刷新会議ワーキンググループなど多くの審議会で委員を務める。日経ヴェリタスのエコノミスト人気調査で2023年までに10回、首位に選ばれる。2023年7月より東京大学先端科学技術研究センター客員上級研究員。
主な著訳書: 『成長の臨界』慶應義塾大学出版会、2022年/『円安再生』東洋経済新報社、2003年/『金融緩和の罠』共著、集英社、2013年/クルーグマン『通貨政策の経済学』共訳、東洋経済新報社、1998年/ブラインダー『金融政策の理論と実践』共訳、東洋経済新報社、1999年
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