ヴィクトリア朝の福澤諭吉と岩倉使節団
幕末維新期における〈知〉をめぐる旅
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異文化接触の旅から知へ
ヴィクトリア朝全盛期、イギリスを訪れた福澤諭吉、新島襄、久米邦武と岩倉使節団。 幕末維新の時代に彼らは何を求めたのか。 それは〈知〉と向き合い、〈知〉をめぐる旅であった。
幕末維新期の日本人が体験した異文化接触の数々。本書では、第T部で福澤諭吉、第U部で新島襄と岩倉使節団別働隊、そして久米邦武と岩倉使節団本隊を取り上げ彼らの足跡をたどる。
1860年代から1870年代、イギリスは社会構造や教育面で大きく変化する転換期であり、教育は日英両国の近代化において通奏低音のように重要な存在だった。福澤諭吉、新島襄、久米邦武と岩倉使節団本隊がイギリスで見たもの、帰国後に日本で伝えようとしたものを探る。彼らの旅は、はたして何であったのか。

序章 1 ヴィクトリア朝社会と階級 ガラスの天井と三つの視点/持てる者と持たざる者/19世紀半ばに訪れた転機/中流階級の細分化とヴィクトリア朝時代の倫理観 2 ヴィクトリア朝社会の教育概観 階級と教育/自助の精神と公教育の遅れ 3 本書の構成と構想
第I部 福澤諭吉と世界地理 幕末維新期の異文化接触と海外情報 第1章 海外関連の情報収集と伝播の変容 1 徳川時代における海外情報の収集――変容過程の概観 2 「居ながらにして知る」時代と福澤諭 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
太田昭子(おおた あきこ) 慶應義塾大学名誉教授。1981年、東京大学教養学部教養学科卒業、1986年、東京大学大学院総合文化研究科比較文学比較文化専攻博士課程単位取得退学。 専攻領域:日英関係史・近代日本対外交流史。
著書に、『岩倉使節団の比較文化史的研究』(共著、思文閣出版、2003年)、『アジアの比較文化』(科学書院、2003年)、『イギリス文化事典』(共著、大修館書店、2003年)、『近代日本の内と外』(共著、吉川弘文館、1999年)、『明治日本とイギリス―出会い・技術移転・ネットワークの形成』(共訳、法政大学出版会、1996年)、『テクストの発見』(共著、中央公論社、1994年)、『地の果ての夢タンジール』(共訳、河出書房新社、1994年)、『戦場の女性特派員』(翻訳、平凡社、1994年)、『『米欧回覧実記』の学際的研究』(共著、北海道大学図書刊行会、1993年)、『開国:日本近代思想大系 1』(共著、岩波書店、1991年)、『外国人による日本論の名著』(共著、中央公論社、1987年)ほか。
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