記憶の居場所(ときのすみか)
エコノミストがみた日常
|
迂回しながらひと筋を貫く
新潟から上京、理系大学で材料工学を学び、素材メーカーで人工骨の開発に携わるはずが、何の因果か非理系の保険会社に入社。 平成の「失われた30年」の激流を逡巡迂回しながら渡りきり、節目で怜悧なコメントを発信しつづけてきた人気エコノミストが“フツーのオジサン”目線で捉えたこの国の変容を、自らの歩みとともに綴る痛快経済エッセイ!
▼一流エコノミストは、日頃どんな視点でものを見ているのか? ▼著者の人生の中で大きな転機となった「1997年」を軸に、「一本道を歩んできた」と思えた新潟時代と「エコノミストとしての立ち位置の確立」を模索した平成期という二つのステージを顧みながら、軽妙なタッチで描写する随想集。 ▼公人の矜持と私人の葛藤がほどよくミックスされた、共感度抜群の51話。
いまや朝夕の経済ニュースに常連コメンテーターとして引っ張りダコの著者にも、日常の中であれこれと思い悩むことは多い。 一見便利そうだが実はいろいろと使い勝手が悪いこの国のシステムを嘆いた「子育て支援の『ちょっとピンぼけ』」、コンビニのレジ袋で七転八倒する「わかっちゃいるけどやめられない」、経済を専門に学んできたほかのエコノミストと伍するために取った 「『書かない殿下』の逆張り戦略」など、思わず笑みがこぼれる珠玉のストーリー満載。

『週刊エコノミスト』 2022年4月5日号(p.65)で、著者のインタビュー記事が掲載されました。 本文はこちら(全文は有料会員向けです)
『財界』 2022年新年特大号「Book必読本」(p.170)で、著者の記事が掲載されました。

第1章 「真実」の居場所
子育て支援の「ちょっとピンぼけ」 いま持つ強さを見出すべし 手続きに懲りて後手に回る つじつまが合わない足し算 「脱力」は「手抜き」にあらず リモコンのボタン 「チャンスはなかった」ことにする経営 「多数派」がルールを決める 「日本は選ばれる」という幻想 それぞれの「あたりまえ」 「みんな」はどこにいる? 「正価」主義の偽り 「不健康自慢」の顛末 「空飛ぶ移動体」に、いつ乗れる? 誰も傷つかない言葉 「 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
矢嶋 康次(やじま・やすひで) 1968年、新潟県直江津市(現・上越市)生まれ。92年、東京工業大学無機材料工学科卒業、日本生命保険相互会社入社。95年、ニッセイ基礎研究所へ出向、経済調査部研究員。2012年、同チーフエコノミスト。17年、研究理事。21年、常務理事を兼務。 早稲田大学、上智大学で非常勤講師として現代経済論の講座を担当。参議院予算委員会調査室で客員調査員を歴任。 テレビ東京「モーニングサテライト」、BSTBS「サンデーニュースBizスクエア」、BS12「マーケット・アナライズ・プラス」などで人気コメンテーターとして活躍。
主著 『期待形成の異質性とマクロ経済政策』(共著、東洋経済新報社、2005年) 『非伝統的金融政策の経済分析』(共著、日本経済新聞出版社、2013年、第54回エコノミスト賞受賞)
|