学校は私たちの「良い生活(グッドライフ)」だった
アメリカ教育史の忘れもの
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「教える」「学ぶ」という新たな「知」を探求し続けてきた著者が 教育学における「進歩主義教育」そのものを問い直す
▼教育哲学者ジェーン・R・マーティンが、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにあるリトル・レッド・スクール・ハウスに学び始めたのは一〇歳の時。そこは、アメリカにかつて存在した最高の進歩主義学校だった。そしていま、アメリカにおける主流派の立場は、進歩主義教育をもはや生ける遺産としてではなく忘れられた方がよい死せる遺物としてみなしている。いかにしてアメリカの進歩主義教育は、その信用を失ったのか? 「アメリカ教育史」が語り忘れていたことを物語のように語って、教育学における「進歩主義教育」そのものを問い直す。
『教育学研究』 第89巻 第2号 2022年6月号(p.144〜p.145)「図書紹介」に書評が掲載されました。評者は宮本健市郎氏(関西学院大学)です。
謝 辞 日本語版への序 序
第一章 よみがえるリトル・レッドの記憶 T. 再会 U. 記憶、ああ記憶 V. ああ学校、ああ美しい学校 W. 摩天楼とインディアン X. 征服王ウィリアムと印刷機 Y. 副詞、三角貿易、そして権利章典 Z. 床、ドア、窓、天井
第二章 子どもに優しい学校 T. 私たちは何故そこにいたのか? U. 学校を子どもに合わせる V. 退屈せずに学ぶこと W. 子どもをだめにすることなく鞭を惜しむ X. 私たちの ……
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【著者】 ジェーン・R・マーティン(Jane Roland Martin) マサチューセッツ大学ボストン校名誉教授(教育哲学)、ニューヨーク生まれ。ハーバード大学においてイズラエル・シェフラーに師事、同大学にて博士号(Ph.D)取得。以後、ブランダイズ大学、コロラド大学、ハーバード大学、ボストン大学などにおいて教鞭をとる。アメリカ教育哲学会会長の経歴を持つ。Willystine Goodsell Award受賞。教育哲学およびフェミニスト哲学を中心に、多様な分野で数多くの著書、論文がある。
【監訳者】 生田 久美子(いくた くみこ) 田園調布学園大学大学院教授、東北大学名誉教授。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学(教育学修士)。杉野女子大学教授、東北大学大学院教育学研究科教授を経て現職。専門分野は、教育哲学、認知教育学。 著者等:『「わざ」から知る(新装版)(コレクション認知科学6)』(東京大学出版会、2007年)、『わざ言語―感覚の共有を通しての「学び」へ―』(慶應義塾大学出版会、2011年)、『教師のわざを科学する』(分担執筆、一莖書房、2019年)、『「子ども人間学」という思想と実践』(編著、北樹出版、2020年)他。
【解説】 田中 智志(たなか さとし) 東京大学大学院教育学研究科教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(教育学)東京大学。 【訳者】 尾崎 博美(おざき ひろみ) 東洋英和女学院大学准教授。東北大学大学院教育学研究科博士課程後期修了(博士(教育学))。専門分野は教育哲学、教育目的論。
犬塚 典子(いぬづか のりこ) 田園調布学園大学大学院人間学研究科/子ども未来学部教授。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。京都大学男女共同参画推進センター特定教授、京都聖母女学院短期大学教授を経て現職。専門分野は教育学、社会学。
畠山 大(はたけやま だい) 岩手県立大学高等教育推進センター准教授。東北大学大学院教育学研究科博士課程後期修了(博士(教育学))。専門は教育哲学・教育方法学。
八木 美保子(やぎ みほこ) 東邦大学理学部講師。東北大学大学院教育学研究科博士課程後期満期退学。修士(教育学)。専門分野は教育史、教育課程論。
今井 卓実(いまい たくみ) 翻訳家。慶應義塾大学文学部卒業。近鉄航空貨物株式会社(現近鉄エクスプレス)に入社。1976年、米国法人Kintetsu World Express(U.S.A), Inc. に出向し、営業活動を行う。同社を退社後、現在に至る。
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