〈善い〉ビジネスが成長を生む
破壊と包摂のイノベーション
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▼イノベーション・エコシステムを醸成せよ 先端的な科学技術を駆使して新たな市場を拓き、「貧困」や「格差」などグローバルな社会課題の解決に挑むSDGs時代のビジネスリーダーたち。 彼らは、柔軟な発想と俊敏な行動で人々をつなぎ、「あるべき未来」へと着実に変革を引き起こしていく。 本書は、そうした起業家・投資家へのインタビューなどを基に、新事業の創出によって取り残された人々を包摂する「DII 思考」を抽出、成功と成長をもたらす〈善い〉ビジネスのためのイノベーション・エコシステムの形成要因を導き出す。
▼「DII思考」へようこそ 本書は「あるべき社会」への賛同者を増やすべく、社会課題に取り組む先駆的なエキスパートや企業・団体の事例を皆さんに紹介し、その考え方を整理している。 本書の目的は、彼らの思想に学び、彼らの行動の特長とその革新的な意義を明らかにすることである。 そして、すべての人が包摂され、誰一人取り残されることのない社会を実現するのは可能であること、従来の仕組みや慣行を破壊して新たな価値を創出(disruption)し、多くの人が科学技術やイノベーションの便益を享受できる(inclusion)世の中は、一人一人の日々の行動や意識が変わることによってより実現に近づくことを「破壊と包摂のイノベーション(Disruptive, Inclusive Innovation: DII)」によって提唱することである。

はしがき
序 章 社会課題を解決する新たなアプローチの萌芽 [飯塚倫子・羽根ジェラルド] 1 イノベーションを取り巻く環境変化 2 重層的な社会変化の影響 3 持続可能な開発目標(SDGs)と科学技術イノベーション 4 見えてきた変化の兆し 5 次世代に求められるDII思考 BOX1 国連におけるSTI for SGDsへの取り組み BOX2 ミッション志向の科学技術イノベーション政策
第1部 DII思考とは何か? 第1章 「善いビジネス」が成功をもた ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編著者】 飯塚 倫子(いいづか みちこ) 政策研究大学院大学教授 上智大学比較文化学部卒(教養学士)、英国ロンドン大学インペリアルカレッジ環境管理ディプロマ(Post graduate diploma)、英国サセックス大学開発学研究所(IDS)開発学修士号(MPhil)、同大学科学政策研究所(SPRU)科学技術政策博士号(DPhil)。 財団法人国際開発センター調査部研究員(1993-96、2000-03)、国連ラテンアメリカ・カリブ経済環境委員会(チリ:UNECLAC)環境政策官(1997-2000)、国連大学マーストリヒト技術革新・経済社会研究所(オランダ:UNU-MERIT)研究員(2008-18)などを歴任。現在、サセックス大学科学政策研究ユニット(SPRU)アソシエート・フェロー、国連大学マーストリヒト技術革新・経済社会研究所(UNU-MERIT)アフィリエイト・フェローを兼任。 専門は、発展途上国や新興国における持続可能な開発、天然資源、農業分野における開発および科学技術イノベーション政策。 主要業績に、“Towards attaining the SDGs: Cases of disruptive and inclusive innovations,” Innovation and Development (with G. Hane, 2021), “Regulation and Innovation under the 4th industrial revolution: The case of a healthcare robot, HAL by Cyberdyne,” Technovation, vol. 108 (with Y. Ikeda, 2021), “‘Discovery’ of non-traditional agricultural exports in Latin America: Diverging pathways through learning and innovation,” in A.-D. Andersen and A. Marin, eds., Learning and Innovation in Natural Resource Based Industries (with M. Gebreeyesus, Routledge, 2020), Chile’s Salmon Industry: Policy Challenges in Managing Public Goods (with A. Hosono and J. Katz, Springer, 2016), 「ネオ・シュンペタリアンとイノベーション」小池洋一・岡本哲史編者『経済学のパラレルワールド入門・異端派総合アプローチ』(新評論、2019年)など。
【執筆者】 羽根ジェラルド(Gerald Hane) 日立アジアシニア・エグゼクティブ、政策研究大学院大学客員研究員
R. A. マシェルカー(R. A. Mashelkar) インド国家研究教授、前科学産業研究評議会(CSIR)局長
A. ワトキンス(Alfred Watkins) 米グローバルソリューションズサミット議長
V. ミュラス(Victor Mulas) 世界銀行東京開発ラーニングセンターチームリーダー
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