時を漂う感染症
国際法とグローバル・イシューの系譜
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▼疫病と世界の変容をめぐる170年を描く。 ▼感染症への国際的対応を読み解くキーワード、それは「国際法」の歴史にあった。 ▼ペスト、コレラ、天然痘、エイズ、SARS、新型コロナウイルス…。国際社会において、感染症と国際法がどのように交わり、変化し、次の世代に継承されていったのか。「国際法」というレンズを通して描きながら、現在世界が直面する問題に切り込む意欲作。
「ウイルスや細菌などの病原体は人体に侵入して寄生・増殖し、やがて症状を引き起こす。それが、感染症という病である。結核菌や麻しんウイルスといった感染症の病原体は、飛沫核(飛沫から水分が蒸発した小さな粒子)となっても感染性を失わず、空間を漂って移動する。ただし、感染症が漂うのは空間だけではない。コレラ、ペスト、HIV/エイズ、重症急性呼吸器症候群(SARS: Severe Acute Respiratory Syndrome)、エボラ出血熱、新型インフルエンザ、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)。入れ替わり立ち替わり登場し、あるいはその姿を変えながら再登場する感染症が、悠久の時の流れから消えたことはない。時間軸という名の気流に乗り、過去から現在、未来へと間断なく移り動く様は、さながら、「時を漂う感染症」である。」(本書「はじめに」から)
『明治学院大学国際学研究』 60巻(2022年3月)(p.51〜p.55)に書評が掲載されました。評者は孫 占坤氏(明治学院大学国際学部国際学科教授)です。
『グローバルガバナンス』 2022年3月(第8号)(p.123〜p.132)「新刊紹介」に書評が掲載されました。評者は渡邊啓貴氏(帝京大学法学部教授、東京外国語大学名誉教授)です。
図書新聞 2022年1月22日(第3527号)(1面)「特集 オミクロン下に深める人文知」に書評が掲載されました。評者は西平等氏(関西大学法学部教授・国際法)です。
はじめに/凡例 第1編 1851年 ─ 1940年代中頃
第1章 1851年 ─1890年代 ─ 国際衛生会議と国際衛生条約 第1節 コレラとペスト/第2節 背景と経緯/第3節 国際衛生会議の始まり /第4節 国際衛 生条約の誕生
第2章 1900年代 ─1910年代 ─ 東方の脅威からの防衛 第1節 黄熱/第2節 背景と経緯/第3節 1903年「国際衛生条約」 /第4節 1907年「公衆 衛生国際事務局のパリにおける設立に関する国際協定」 /第5節 19 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
新垣 修(あらかき おさむ) 沖縄出身 国際基督教大学(ICU)教養学部教授 PhD in Law (Victoria University of Wellington) 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)法務官補、国際協力機構(JICA)ジュニア専門員、ハーバード大学ロースクール客員フェロー、東京大学大学院総合文化研究科客員准教授、関西外国語大学外国語学部教授、広島市立大学国際学部教授などを経て現職 主著 Refugee Law and Practice in Japan (Ashgate Publishing, 2008) The UNHCR and the Supervision of International Refugee Law (chapter contribution, Cambridge University Press, 2013) The Oxford Handbook of International Refugee Law (chapter contribution/co-author, Oxford University Press, 2021) 「無国籍条約と日本の国内法―その接点と隔たり」(UNHCR報告書、2015年)『「難民」をどう捉えるか―難民・強制移動研究の理論と方法』(共著、慶應義塾大学出版会、2019年)
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