猫のティブルスは、尻尾を失ったとしても「ティブルス」と同一なのだろうか――
哲学において最も基本的かつ重要な概念である「同一性」を統一的な視点から解明する。 ある事物がそれ自体との間で同一であるという関係は、どのようなもので、なぜ成立するのだろうか。形而上学・ 意味論 ・ 認識論の三つの相における 「同一性」の諸問題に取り組み、その統一理論を提唱する野心的試み。

『科学哲学』 56巻2号(2024年3月) に書評論文「なぜ種性質ではなく種別概念が擁護されたのか―横路佳幸『同一性と個体』を読んで―」(p. 89-101)が掲載されました。評者は、大畑浩志氏(大阪公立大学)です。 本文はこちら

序論
1 本書のテーマ 2 本書の目標と意義 3 五つの留意点 4 本書の構成とマニフェスト
第1章 予備的考察――種別概念をめぐる諸前提
1 三つの前提 2 種別概念小史――アリストテレス・ロック・ストローソン 3 種別概念の役割――種別的同一性規準の提供 4 種別的同一性規準のちょっとした敷衍 5 種別概念の分類――実体的なものと制限的なもの 6 種別概念の射程――裸の個体の不在 7 諸前提のベクトル和
第2章 同 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
横路 佳幸(よころ よしゆき) 日本学術振興会特別研究員PD/南山大学社会倫理研究所プロジェクト研究員。 2019年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程を単位取得退学。2020年、同大で博士号(哲学)を取得。専門は哲学、倫理学。主要業績に「非認知主義・不定形性・もつれのほどき ――分厚い語の意味論」(『倫理学年報』66集、2017年、日本倫理学会 2017年度和辻賞受賞)、「三位一体論についての同一性の相対主義者になる方法」(『宗教哲学研究』38号、2021年)など。
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