黒い雨に撃たれて 下
二つの祖国を生きた日系人家族の物語
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▼運命の日への序曲
日系二世が直面した強制収容、人種差別やアイデンティティ・シフト、 従軍した日系人の戦争協力、原爆投下によって壊滅的被害を受けた広島――。 戦争に人生を翻弄された日米双方の市井の人々の経験を、あざやかな筆致で描き出す叙事詩。
1942年収容所にいたハリーは、アメリカ陸軍情報部語学兵試験に合格し、 翌43 年夏には、第33 歩兵師団付の語学兵として、 ニューギニア戦線やフィリピン戦線に赴き、日本兵と対峙。
赴任当初は、陸軍内で差別を受けるが、戦況が進むにつれ、 日本軍から鹵獲した機密書類の翻訳や日本人捕虜の尋問の成功などの実績により、 陸軍内での信頼を勝ちえていく。
やがて、九州上陸作戦への従軍を聞かされていたハリーに、広島への原爆投下の一報が入る。
日系二世が直面した強制収容、人種差別やアイデンティティ・シフト、 従軍した日系人の戦争協力、原爆投下によって壊滅的被害を受けた広島――。 戦争に人生を翻弄された日米双方の市井の人々の経験を、あざやかな筆致で描き出す叙事詩。


日本経済新聞 2020年9月26日(29面)「読書面・この一冊」に、書評が掲載されました。評者は稲泉連氏(ノンフィクション作家)です。 本文はこちら(有料記事です)
中国新聞 2020年9月6日に書評が掲載されました。評者は西本雅実氏(中国新聞特別編集委員)です。 本文はこちら

W 太平洋における戦い 17 初っ端から疑われる 18 タイプライターを持って前線へ 19 桜の季節も忘れて 20 ニューギニアに耐える 21 ピアスの執行猶予
X 運命の日への序曲 22 サルミでの驚くべき遭遇 23 ジャングルでの遅々とした変化 24 赤紙 25 フィリピンでの極限状態 26 戦う兄弟 27 原子爆弾
Y 余波 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
[著者] パメラ・ロトナー・サカモト(Pamela Rotner Sakamoto) 1962年にノースカロライナ州に生まれる。アマースト大学卒業。1984年に「アーモスト・同志社フェロー」として来日。以降、京都と東京で通算17年間を過ごす。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院でPh.D.を取得。杉原千畝の研究書Japanese Diplomats and Jewish Refugees: A World War II Dilemma, Praeger,1998 を刊行する。長年にわたり米国ホロコースト記念博物館における日本関係のプロジェクトで専門コンサルタントを務めている。2007年にハワイに移住。ハワイ大学と名門私立校プナホウ・スクールで歴史を教える。現在、後者の社会科の責任者を務める。
[訳者] 池田 年穂(いけだ としほ) 1950年横浜市生まれ。慶應義塾大学名誉教授。移民史、移民文学なども講じてきた。ティモシー・スナイダーの日本における紹介者として、『自由なき世界』『暴政』『ブラックアース』『赤い大公』(2020年、2017年、2016年、2014年)を、タナハシ・コーツの紹介者として『世界と僕のあいだに』(2017年)を翻訳している(出版社はいずれも慶應義塾大学出版会)。ほかに、アダム・シュレイガー『日系人を救った政治家ラルフ・カー』(2013年、水声社)など多数の訳書がある。
西川 美樹(にしかわ みき) 翻訳家。東京女子大学文理学部英米文学科卒。訳書にメアリー・ルイーズ・ロバーツ『兵士とセックス』(共訳、明石書店、2015年)、ニール・バスコム『ヒトラーの原爆開発を阻止せよ!』(亜紀書房、2017年)、ジェイムズ・Q・ウィットマン『ヒトラーのモデルはアメリカだった』(みすず書房、2018年)など。
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