黒い雨に撃たれて 上
二つの祖国を生きた日系人家族の物語
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▼二つの祖国を漂う
米国陸軍大佐、ハリー・フクハラ。 彼とその家族が辿った波乱の生涯を中心に、日米開戦によって二つの祖国のあいだで 身を引き裂かれた日系人の生を描く壮大な歴史絵巻。
ワシントン州シアトルで、広島県出身の父・克二と 母・キヌのあいだに4 男1 女の次男として生まれた ハリーは、父・克二の死後、母キヌと兄弟・姉とともに 広島に移住するが、日本に馴染めず、1938 年に帰米。
ところが、1941 年アジア太平洋戦争勃発に伴い、一年後に ハリーの後を追って帰米した姉のメアリーとともに、 アリゾナ州のヒラ・リバー強制収容所に収監される。
一方、ハリーの兄ヴィクターと弟のピアス、フランクは母とともに広島に残った。 太平洋戦争前に召集を受けたヴィクターだけでなく、やがて彼ら三人とも が帝国陸軍に召集される運命にあった。
米国陸軍大佐、ハリー・フクハラ。 彼とその家族が辿った波乱の生涯を中心に、日米開戦によって二つの祖国のあいだで 身を引き裂かれた日系人の生を描く歴史絵巻。
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日本経済新聞 2020年9月26日(29面)「読書面・この一冊」に、書評が掲載されました。評者は稲泉連氏(ノンフィクション作家)です。 本文はこちら(有料記事です)
中国新聞 2020年9月6日に書評が掲載されました。評者は西本雅実氏(中国新聞特別編集委員)です。 本文はこちら
はじめに
プロローグ 衝撃波
T アメリカに生まれ、二つの文化で育つ 1 オーバーンの故郷にて 2 ヒロシマでの束の間の滞在 3 受難の始まり 4 大恐慌 5 象牙色の骨と鉛色の灰
U 二つの国を漂う 6 日の出る国 7 悲しい帰郷 8 広島にかかる靄 9 ロサンゼルスでのパニック 10 グレンデールから広島に流れる沈黙
V 銃後の戦い ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
[著者] パメラ・ロトナー・サカモト(Pamela Rotner Sakamoto) 1962年にノースカロライナ州に生まれる。アマースト大学卒業。1984年に「アーモスト・同志社フェロー」として来日。以降、京都と東京で通算17年間を過ごす。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院でPh.D.を取得。杉原千畝の研究書Japanese Diplomats and Jewish Refugees: A World War II Dilemma, Praeger,1998 を刊行する。長年にわたり米国ホロコースト記念博物館における日本関係のプロジェクトで専門コンサルタントを務めている。2007年にハワイに移住。ハワイ大学と名門私立校プナホウ・スクールで歴史を教える。現在、後者の社会科の責任者を務める。
[訳者] 池田 年穂(いけだ としほ) 1950年横浜市生まれ。慶應義塾大学名誉教授。移民史、移民文学なども講じてきた。ティモシー・スナイダーの日本における紹介者として、『自由なき世界』『暴政』『ブラックアース』『赤い大公』(2020年、2017年、2016年、2014年)を、タナハシ・コーツの紹介者として『世界と僕のあいだに』(2017年)を翻訳している(出版社はいずれも慶應義塾大学出版会)。ほかに、アダム・シュレイガー『日系人を救った政治家ラルフ・カー』(2013年、水声社)など多数の訳書がある。
西川 美樹(にしかわ みき) 翻訳家。東京女子大学文理学部英米文学科卒。訳書にメアリー・ルイーズ・ロバーツ『兵士とセックス』(共訳、明石書店、2015年)、ニール・バスコム『ヒトラーの原爆開発を阻止せよ!』(亜紀書房、2017年)、ジェイムズ・Q・ウィットマン『ヒトラーのモデルはアメリカだった』(みすず書房、2018年)など。
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