▼奪い合いか、助け合いか?
細胞はなぜ無駄な抗体を作るのか、脳はなぜ不合理な判断をするのか、文学はやはり蕩尽なのか、国家はなぜ戦争をするのか、それでも人びとはなぜ助け合うのか? 生産と消費、交換と搾取、競争と協力といった私たちの経済的な営みに着目し、多様な生命と組織が織りなす生と死のダイナミズムを捉え直す。
はじめに 西尾 宇広
「生命の経済」という視点からみた人間の特異性 「協力の哲学」に向けて 田中 泉吏
T 心と体の経済学 なぜ体は〈無駄〉だらけなのか? タンパク質の翻訳後修飾 清水 史郎 心的エネルギーのダイナミズム “無意識” に光をあてる 森 さち子 行動経済学とビッグデータから探るヒトの意思決定と行動 脳に埋め込まれた過去の遺物を理解し、よりよい行動を起こさせるには? 星野 崇宏
U 生と死の経済学 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編者】 西尾 宇広(にしお たかひろ) 慶應義塾大学商学部准教授。1985年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学ドイツ文学専修)、博士(文学)。専門は近代ドイツ文学。著書に『ハインリッヒ・フォン・クライスト――「政治的なるもの」をめぐる文学』(共著・編訳、インスクリプト、2020年)、『晩年のスタイル――老いを書く、老いて書く』(共著、松籟社、2020年)、『文学と政治――近現代ドイツの想像力』(共著、松籟社、2017年)等。
【執筆者】(掲載順) 田中 泉吏(たなか せんじ) 慶應義塾大学文学部准教授。1980年生まれ。2008年京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(哲学、慶應義塾大学)。専門は、科学哲学。著書に、『生物学の哲学入門』(共著)勁草書房、 2016年、『モラル・サイコロジー』(共著)春秋社、2016年、『入門 科学哲学』(共著)、慶應義塾大学出版会、2013年等がある。
清水 史郎(しみず しろう) 慶應義塾大学理工学部教授。1971年生まれ。慶應義塾大学大学院修了。博士(工学、1998年慶應義塾大学)。専門は、糖質科学、ケミカルバイオロジー。著作に、Mutations in the Plk gene lead to instability of Plk protein in human tumour cell lines. Nature Cell Biol. 2, 852-4(2000)、A small-molecule inhibitor shows that pirin regulates migration of melanoma cells. Nature Chem. Biol. 6, 667-73(2010)、Indentification of DPY19L3 as C-mannosyltransferase of R-spondinl in human cells. Mol. Biol. Cell 27,744-56(2016)等がある。
森 さち子(もり さちこ) 慶應義塾大学総合政策学部教授、医学部精神・神経科学教室兼担教授、放送大学客員教授。1963年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。博士(学術、2008年慶應義塾大学)。専門は、臨床心理学、精神分析的心理療法。著書に、『症例でたどる子どもの心理療法』金剛出版、2005年、『かかわり合いの心理臨床』誠信書房、2010年、『子どもの心理臨床シリーズ1~9』(翻訳)誠信書房、2011年等。
星野 崇広(ほしの たかひろ) 慶應義塾大学経済学部教授。1975年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程。博士(学術)・博士(経済学)。専門は、行動経済学・計量経済学・統計科学・マーケティングサイエンス。著書に、『調査観察データの統計科学――因果推論・選択バイアス・データ融合』岩波書店、2009年等がある。
奥田 智明(おくだ ともあき) 慶應義塾大学理工学部教授。1974年生まれ。東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程修了。博士(農学、2002年)。専門は、環境化学、大気科学、微粒子工学。2015年、Asian Young Aerosol Scientist Award他受賞多数。環境省PM2.5対策総合推進検討会委員、日本エアロゾル学会常任理事等を歴任。TV出演や新聞掲載多数。
中川 秀敏(なかがわ ひでとし) 一橋大学大学院経営管理研究科教授。1972年生まれ。2000年東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了 。博士(数理科学)。専門は、数理ファイナンス、金融リスク計量モデル。 主な論文に、“On Surrender and Default Risks”, Mathematical Finance, 23 (1), 143-168(2013)〔共著〕、“A Filtering Model on Default Risk”, Journal of Mathematical Sciences University of Tokyo, 8, 107-142(2001)、「相互作用型の格付変更強度モデルによる格付変更履歴データの分析」、日本応用数理学会論文誌、20(3)、183-202(2010)等がある。
宮本 万里(みやもと まり) 慶應義塾大学商学部准教授。2006年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究指導認定退学。博士(地域研究)。専門は、政治人類学、南アジア地域研究。著書に、『現代文明の危機と克服――地域・地球的課題へのアプローチ』(共著)日本地域社会研究所、2014年、『自然保護をめぐる文化の政治――ブータン牧畜民の生活・信仰・環境政策』風響社,2009年。
稲村 一隆(いなむら かずたか) 早稲田大学政治経済学術院准教授。1979年生まれ。ケンブリッジ大学古典学部博士課程修了。PhD(2012年、ケンブリッジ大学)。専門は、政治哲学、西洋政治思想史。著書に、Justice and Reciprocity in Aristotle’s Political Philosophy (Cambridge University Press, 2015).「テクストの分析と影響関係」『思想』1143号、岩波書店、2019年7月、82-98頁。「プラトンとアリストテレス」『世界哲学史1』ちくま新書、2020年、213-237頁等。
駒村 康平(こまむら こうへい) 慶應義塾大学経済学部教授。1964年生まれ。1995年慶應義塾大学大学院博士課程修了(博士(経済学)。専門は、社会政策。著書に、『日本の年金』岩波書店、2014年、『社会政策』有斐閣、2015年、『エッセンシャル金融ジェロントロジー』慶應義塾大学出版会、2019年。
山本 浩司(やまもと こうじ) 東京大学大学院経済学研究科准教授。1981年生まれ。University of York(UK)卒業。2010年Ph. D in History。専門は、イギリス近世史、西洋経営史。特に産業革命以前の「企業の社会的責任」や金融バブルの歴史研究。著書に、Taming Capitalism before its Triumph: Public Service, Distrust, and ‘Projecting’ in Early Modern England (Oxford University Press, 2018)、Koji Yamamoto(ed.), Puritans, Papists and Projectors: Stereotypes and Stereotyping in Early Modern England (Manchester University Press, forthcoming)等がある。
石川 学(いしかわ まなぶ) 慶應義塾大学商学部専任講師。1981年生まれ。2014年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門はフランス文学・フランス思想。著書に『ジョルジュ・バタイユ 行動の論理と文学』東京大学出版会、2018年等。
|