▼私たちは理性を信頼してよいのか? ▼バタイユの思想から現代世界の倫理を考える。 20世紀フランスの最も重要な思想家の一人である、ジョルジュ・バタイユの思索を手がかりに、「理性への無条件な信頼」に警鐘を鳴らす。第二次世界大戦の経験をふまえたバタイユの思想の変化を辿り、ハンナ・アーレントやジャン=ピエール・デュピュイも参照しながら、「理性の暴走・狂気」を見据えた「倫理」の模索を提唱する。

はじめに 私たちは「理性」を信頼してよいか
第一章 理性の鎖を解き放つために 第一節 実存と社会の変革――上下の「逆転」のダイナミズム 第二節 ファシズムとの対決と、その利用? 第三節 「悲劇」の世界の再現を目指して――「社会学研究会」と「アセファル」
第二章 第二次世界大戦と「瞬間の倫理」 第一節 世界大戦の経験と新たなニーチェ解釈 第二節 広島の悲惨から「瞬間の倫理」へ 第三節 来るべき破局の回避に向けて―「全般経済学」の視点
第三章 理性の暴走に ……
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石川 学(いしかわ まなぶ) 慶應義塾大学商学部専任講師。2014年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。博士(学術)。東京大学大学院博士課程教育リーディングプログラム「多文化共生・統合人間学プログラム」(IHS)特任助教等を経て、2019年より現職。専門はフランス文学、フランス思想。単著:『ジョルジュ・バタイユ 行動の論理と文学』(東京大学出版会、2018年)。主要訳書:ドゥニ・オリエ『ジョルジュ・バタイユの反建築 コンコルド広場占拠』(共訳、水声社、2015年)。
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