第48回「澁澤賞」を受賞しました。
蚕を育てる女性たち、 その身体技術と近代科学の融合
科学知と在来知、国家イデオロギーと民俗的想像力――。 国家政策と女性たちの感情・感覚のせめぎ合いから、 近代養蚕業の新たな姿を紡ぎ出す。
なにごとも 蚕が思うままにして さからわぬこそ 蚕のみち
繊細を極め、人の手を借りなければ生きられない〈お蚕さま〉。 その飼育を担ったのは近代的な大工場ではなく、 農村の女性たちの熟練した身体的技術と、連綿と受け継がれてきた民俗的想像力だった。 近代産業のもう一つの側面を鮮やかに織り上げる、気鋭の力作。
『みすず』 2023年1・2月合併号(no.722)「2022年読書アンケート特集」にて、郷原佳以氏(フランス文学)にご紹介いただきました(p.56)。
桐生タイムス(夕刊) 2020年6月18日(12面)で本書が紹介されました。
毎日新聞 2020年6月27日(15面)「今週の本棚」に書評が掲載されました。評者は持田叙子氏(日本近代文学研究者)です。 本文はこちら(有料記事です)
序 章 養蚕と蚕神 1 養蚕と近代日本 2 近代産業化と民俗的想像力 3 女性たちの身体感覚・民俗信仰 4 本書の構成 5 蚕の生態 6 日本養蚕史概観―― 十九世紀の開国以前まで
T部 養蚕の国策近代産業化――蚕を巡る制度・科学・イデオロギー
第一章 在来知から科学知へ――蚕種生産を巡る知の体系 1 養蚕業の国策化における蚕種の重要性 2 蚕種の科学化—蚕病予防から蚕種統一への転換 3 優性の法則と蚕 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
沢辺 満智子(さわべ まちこ) 1987年生まれ。2017年、一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻博士課程修了。博士(社会学)。学習院大学客員研究員、多摩美術大学非常勤講師。主な論文に「育てる身体と感覚――『養蚕秘録』に見る人間と蚕の関係」(足羽與志子・中野聡・吉田裕編『平和と和解――思想・経験・方法』旬報社、2015年)、共著書に『VIVID銘仙――煌めきの着物たち』(青幻舎、2016年)等。
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