養蚕と蚕神
近代産業に息づく民俗的想像力
序 章 養蚕と蚕神 1 養蚕と近代日本 2 近代産業化と民俗的想像力 3 女性たちの身体感覚・民俗信仰 4 本書の構成 5 蚕の生態 6 日本養蚕史概観―― 十九世紀の開国以前まで
T部 養蚕の国策近代産業化――蚕を巡る制度・科学・イデオロギー
第一章 在来知から科学知へ――蚕種生産を巡る知の体系 1 養蚕業の国策化における蚕種の重要性 2 蚕種の科学化—蚕病予防から蚕種統一への転換 3 優性の法則と蚕 4 蚕と国民身体――国家が管理する命
第二章 育てる技術の標準化と限界 1 蚕書に見る養蚕技術の再編――標準への志向性 2 養蚕技術の近代化――「養蚕標準表」の成立 3 留保される標準化――高山社の指導法にみる身体
第三章 近代養蚕農家への再編――製糸会社の台頭 1 蚕種生産と中心の移動――農村・政府・製糸会社 2 組織化と養蚕の実践――養蚕組合と特約取引 3 鐘紡の養蚕工場構想とその限界 4 近代養蚕農家と女性
第四章 宮中養蚕にみる国家イデオロギーと蚕 1 明治政府による宮中養蚕の開始 2 再編される宮中養蚕――皇室と科学知との接近 3 育てる国母と殖産興業――養蚕と良妻賢母像 4 昭和戦時体制と宮中養蚕
U部 金色姫物語の近代――養蚕における民俗的想像力の諸相
第五章 蚕影信仰と金色姫 1 近代化政策における民俗領域 2 養蚕の神々 3 養蚕信仰の中心・蚕影神社――縁起・信仰圏・金色姫物語 4 民俗神としての蚕神・金色姫 5 金色姫の社会的地位 6 民俗的想像力と金色姫の親和性
第六章 金色姫物語と女性たち 1 女性たちの金色姫 2 女性の身体守護としての金色姫 3 蚕母――接近する女性の身体と蚕 4 女性救済の金色姫――富士講・蚕和讃に見る女性の身体
第七章 蚕を育てる感覚と想像力 1 蚕を育てる人間の身体 2 感情を持つ蚕――信仰の起点 3 育てる身体と金色姫物語――蚕の命と金色姫の命 4 蚕の変態、そして生と死
第八章 金色姫と皇后――女性たちの金色姫から、国民の金色姫へ 1 動員される神々――国策産業と金色姫 2 養蚕組合と金色姫信仰 3 富国強兵開祖神――皇后と金色姫
終 章 近代産業化と民俗的想像力 1 国家の虫・蚕への道程 2 技術に残り続けた感覚と民俗 3 民俗的世界を強化した国家政策 4 近代化の再検討に向けて
註 あとがき 初出一覧 参考文献 索 引
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