▼明治期の翻訳教科書から、教育の歴史をひも解く。
明治期、近代的知識の導入にあたり、先進国の教科書が多数翻訳された。その一つ『修身論』は、ウェーランド著『道徳科学要論』を原本とし、道徳や聖書に関する倫理理論と共に、基本的人権・自由主義・平等主義に基づく近代社会制度を論じた。訳者の阿部はこれら近代的倫理観をいかに訳したのか。明治教育史の一端を明らかにする。
はじめに
第1章 近世から近代へ――「文明開化」と「学制」の夢 1.国家の近代化:「智識を世界に求める」 2.教育の近代化:「必ず邑に不学の戸なく家に不学の人なし」
第2章 アメリカから日本へ――ウェーランドと福澤諭吉の出会い 1.ウェーランドと『道徳科学要論』:新世紀のための思想 2.福澤諭吉と『道徳科学要論』:原書の影響、訳書の普及
第3章 英語から日本語へ――阿部泰蔵のジレンマ 1.阿部泰蔵と『修身論』:キリスト教の消失 2.阿部泰蔵の訳し方:「読 ……
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アルベルト・ミヤン マルティン(Alberto MILLÁN MARTÍN) 慶應義塾大学経済学部専任講師。1982年にミヤン家とマルティン家の間に生まれ、スペイン・マヨルカ島出身。バルセロナ自治大学翻訳通訳学部卒業。上智大学比較文化学部に一年留学。日本政府JETプログラムの国際交流員として山口県立大学に一年勤務後、大阪大学大学院言語文化研究科で博士号を取得。博士(大阪大学、日本語・日本文化、2011年)。 同志社大学グローバル地域文化学部助教を経て現職。福澤研究センター所員。専門分野は日本研究(幕末維新・教育思想史)、翻訳学(翻訳論・翻訳史研究)、スペイン語学(歴史言語学・記述文法)。
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