不可視の「国際法」
――ホッブズ・ライプニッツ・ルソーの可能性
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▼我々の「負の国際法意識」を克服せよ。
啓蒙期「知の巨人」たちは「国際法」とは無関係なのか。現在の一般知識からは影となっている事実に焦点を当て、彼らの「法」「国家」「主権」理論を論理的に描き出す。
国際法史研究の深化を問う最高水準の研究。
トマス・ホッブズ・ライプニッツ及びジャン=ジャック・ルソーの「法」「国家」「国際法」観念の考察が本書のテーマである。
社会科学に関わる思想・理論史研究において、ある分野では高い評価を与えられ、重要な研究対象とされてきた思想家や著作家が、他の分野においてはほとんど顧みられることがないという現象は決して稀なことではない。
特定分野においてのみ研究対象と認識され、他の分野では看過されてきた思想家が論じた観念や理論、それが他の分野にとって実際に無意味なものであるならば、何らの問題も惹起しない。しかし、そのような観念や理論が無意味である、との評価が一般的に共有された知識に基づく場合は、その評価自体が問題とされなければならない。
ホッブズ、ライプニッツ、そしてルソー、この3人の思想家について国際法学において生じている状況に対して、著者はある種の知的好奇心を抱き、事実に基づく論理的考察を開始する。
その契機となった言葉が「負の国際法意識」なのである。

凡 例
序 論
第一部 トマス・ホッブズ:「国際法の否定者」か はじめに
第一章 予備的考察:国際法(史)概説書におけるホッブズの位置付け 序 第一節 国際法概説書におけるホッブズ 第二節 国際法史概説書におけるホッブズ 小括と若干の考察
第二章 ホッブズの「法」理論 序 第一節 ホッブズによる「法」の定義及び分類 第二節 ホッブズの自然法理論の本質 第三節 国家法と自然法の関係 小括と若干の考察
第三章 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
明石 欽司(あかし きんじ) 九州大学大学院法学研究院教授。法学博士(ユトレヒト大学、1996年)。 1958年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了、同博士課程中退。海上保安大学校助手・専任講師、在ベルギー王国日本大使館専門調査員、ブリュッセル自由大学国際法研究所研究員、新潟国際情報大学情報文化学部助教授、慶應義塾大学法学部助教授、同教授を経て、2016年より現職。 “Cornelius van Bynkershoek: His Role in the History of International Law” (Kluwer Law International, 1998)で第32回安達峰一郎賞を受賞。 主要著作として『ウェストファリア条約―その実像と神話』(慶應義塾大学出版会、2009年)ほか。
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