虚実のはざまにたゆたう普遍的な詩情。 その危うさの根源はなにか?
▼子規・虚子以降の近代俳句とは別の系譜の可能性を明示する! ▼タイトルは、万太郎の俳句「 時計屋の時計春の夜どれがほんと」から取っている。
虚と実のはざまにたゆたう普遍的な詩情を、卓越した言葉の芸で生み出し続けた久保田万太郎。 だが、いままでは「下町の抒情俳人」と評して安んじて、他の近現代の俳句にはない万太郎俳句の「言葉の力/巧みな芸」を言葉で掬いあげることが叶わなかったのではないだろうか。だれもが感受するその特質と危うい魅力を、俳句の本質に迫りつつ、はじめて論じきった若手俳人の画期的評論。
毎日新聞 2018年12月16日(11面)「今週の本棚・2018この3冊」に書評が掲載されました。評者は持田叙子氏(日本近代文学研究者)です。
俳句(KADOKAWA) 2018年8月号に書評が掲載されました。評者は柘植史子氏です。
俳壇 2018年8月号に書評が掲載されました。評者は前北かおる氏です
序論
第T章 季語の伝統にどう向き合うか 万太郎の中の「月並み」 非―イメージ 万太郎の取り合わせ 切れと切字 「型」と「型破り」
第U章 言葉の共振 緩急 言葉のコストパフォーマンス 万太郎の時間意識 哀の人 前書との照応 地名、人名 言葉遊び
結論 万太郎俳句の未来
久保田万太郎 略年譜
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柳克弘(たかやなぎ かつひろ) 1980年、静岡県浜松市生れ。早稲田大学大学院教育学研究科で松尾芭蕉を研究し、修士修了。2002年俳句結社「鷹」に入会し、藤田湘子に師事。05年より「鷹」編集長。04年「息吹」で第19回俳句研究賞を最年少で受賞、08年「凛然たる青春」で第22回俳人協会評論新人賞受賞、10年句集『未踏』で第1回田中裕明賞受賞。主な著書に、句集『寒林』(ふらんす堂、2016)、『芭蕉の一句』(同、2008)、『芭蕉と歩く「おくのほそ道」ノート』(角川学芸出版、2012)、『NHK俳句 名句徹底鑑賞ドリル』(NHK出版、2017)等がある。 17年4月より18年3月までNHKのEテレ番組「NHK俳句」選者。
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