▼叡智と洗練の饗宴
出版がもっとも光り輝いていた〈あの時代〉を、文学全集の書誌学的調査を通して詳細に描き出す。
六〇年代を中心に多くの文学全集が妍(けん)を競っていた頃、出版社は叡智を傾けて様々な企画を練っていた。時には一つの出版社が複数の企画を同時並行で実行するなど、読者にとっても様々な選択が可能であり、読書・文学・文化・教養等々にとって、これほど恵まれた時代もなかった。出版業界も利潤を追求する企業の側面を有しており、出版戦略の元に市場を意識した企画や出版がなされたことも間違いない。それらを含めて、この文化の時代を象徴する文学全集の類について、きちんと総括しておく必要があるのではないか。――本書「はじめに」より
紀伊國屋書店「Kinoppy」で電子版をご購入いただけます。
朝日新聞 2019年6月29日(10面)「be between 読者とつくる」(「全集」家にありますか?)に著者のインタビューが掲載されました。 本文はこちら
週刊読書人 2018年6月15日(5面)に書評が掲載されました。評者は服部徹也氏(慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程)です。 本文はこちら
東京新聞 2018年5月13日読書面(9面)に書評が掲載されました。評者は勝又浩氏文芸評論家)です。
はじめに
第一章 〈王道〉 筑摩書房の日本文学全集の歴史 一 代表的な文学全集とその周辺 二 『現代日本文学全集』の出発と増巻 三 『新選現代日本文学全集』と各種改編版 四 『現代文学大系』の登場――小型化への変化―― 五 『現代日本文学大系』――『現代日本文学全集』を継ぐもの―― 六 『筑摩現代文学大系』――小型版の完成―― むすび
第二章 〈先駆〉 角川書店『昭和文学全集』の誕生 一 追うものと追われるもの ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
田坂 憲二(たさか けんじ) 1952年福岡県生まれ。九州大学文学部卒業、同大学院修了。博士(文学)。 慶應義塾大学文学部教授。国文学専攻。 主な著書に、『大学図書館の挑戦』(和泉書院、2006年)、『文学全集の黄金時代―河出書房の1960年代―』(和泉書院、2007年)、『源氏物語享受史論考』(風間書房、2009年)、『源氏物語古注集成18 紫明抄』(おうふう、2014年)、『名書旧蹟』(日本古書通信社、2015年)、『源氏物語の政治と人間』(慶應義塾大学出版会、2017年)などがある。
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