第3回井筒俊彦学術賞(主催:慶應義塾大学文学部)を受賞しました。
▼「一人の私」に立ち返る――。
本書では、水俣病の経験を、運動・訴訟や社会的状況のみならず、 個々人をとりまく生活世界とも連動しながら、記憶が紡がれてゆくプロセスとして描き出し、 チッソが水俣に工場を設立して以降のおよそ110年という時間軸のなかに位置づけてゆく。 モノや語りに表象される過去の水俣病経験ではなく、モノや語りを媒介としながら、 今なお生きられる水俣病経験のダイナミックなありよう、 被害/加害の対抗図式を超えて、「当事者」の〈顔〉を描き出す、気鋭の力作。
三田社会学 第23号(2018年7月)に書評(p.104)が掲載されました。評者は、笠井賢紀氏(龍谷大学)です。
西日本新聞 2018年3月11日読書面「郷土の本」(15面)に掲載されました。
図書新聞 3336号(2018年1月27日)4面に書評が掲載されました。評者は、萩原修子氏(熊本学園大学教授)です。
序 章 第1節 本書の射程――水俣が切りひらく問い 第2節 「現在」を解きほぐす――歴史人類学の視点 1 記憶をいかに捉えるか 2 「民族誌的現在」 3 「文化の構築」論のジレンマ 4 実践される歴史への通時的アプローチ 第3節 モノの力――「物質文化研究」の視点 1 「解釈人類学的なモノ研究」 2 「物質文化研究」の通時的視点――「モノの再文脈化」論 3 エージェンシー論の射程 第4節 「 ……
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下田 健太郎(しもだ けんたろう) 1984年東京生まれ。日本学術振興会特別研究員(PD)。 2015年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(史学)。主な業績に、「モノによる歴史構築の実践――水俣の景観に立つ52体の石像たち」(『文化人類学研究』12巻、2011年)、「モノが/をかたちづくる水俣の記憶――『本願の会』メンバーによる石像製作と語りの実践を事例に」(『次世代人文社会研究』11号、2015年)、“Possible Articulations Between the Practices of Local Inhabitants and Academic Outcomes of Landscape History: Ecotourism on Ishigaki Island”(H. Kayanne ed. Coral Reef Science: Strategy for Ecosystem Symbiosis and Coexistence with Humans under Multiple Stresses, Springer Japan, 2016年)など。
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