▼陶磁器から眺望する世界的流通網 スペイン人による銀と絹の交易と考えられてきたマニラ・ガレオン貿易。 しかしその実態は、より様々な勢力とモノが入り乱れる、利権の坩堝だった。 考古学と文献史料双方から解明する、新たな貿易像。
16世紀から17世紀にかけて興隆をみせたガレオン貿易。 マニラを起点に太平洋を横断し、アメリカ大陸を経てイベリア半島に至る 世界的な流通は、ヨーロッパのライフスタイルまでをも変質させた。 しかし、従来スペイン人が独占してきたとされるこの貿易は、 ポルトガル人、中国人、コンベルソ、その他数多の勢力が時に対立し、 時に協働しながら構築されたものだった。 陶磁器の考古学的分析と文献史料の渉猟により、 マニラ・ガレオン貿易におけるモノと人の交錯を巨視的に捉えなおす力作。

月刊 みすず 2018年1・2月合併号(no.667)「2017年読書アンケート特集」にて生田滋氏(東南アジア前近代史・大航海時代史)の「私の2冊」の1冊に選ばれました(p.110)。

本書対象地域図
序 章
第1章 ポルトガル人とスペイン人のアジア海域進出 1 イベリア勢力の海外進出 2 ポルトガル人とスペイン人到来以前のアジア地域の交易 3 マニラの設立と交易 4 マニラ・マカオ間の交易と他の港市国家 5 マニラの中国人
第2章 マニラ・ガレオン貿易における商業と商人 1 マニラからヌエバ・エスパーニャへの商品の流れ 2 市場構造とメキシコ人商人 3 宗教団体の交易と密貿易 4 商人のディアスポラとネットワーク
第 ……
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宮田 絵津子(みやた えつこ) 1970年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。サンティアゴ・デ・コンポステラ大学DEA取得後、ポンペウ・ファブラ大学博士後期課程修了。立教大学大学院文学研究科史学専攻修了。博士(文学)。現在、日本学術振興会特別研究員(RPD)、立教大学兼任講師。専門は歴史学・考古学。 主要業績にPortuguese Intervention in the Manila Galleon Trade (Archaeopress, 2017), The Early Manila Galleon Trade: Merchants' Networks and Markets in Sixteenth-and Seventeenth-Century Mexico, Asia & Spanish America Trans-Pacific Artistic & Cultural Exchange, 1500-1850 (Oklahoma University Press, 2009) など。
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