哲学史上、未解決の謎を解き明かす
▼ライプニッツ研究において、これまで「矛盾」とみなされてきた、被造物の「自発性」と「依存性」。 この両概念の並存可能性を立証するとともに、予定調和の世界でも人間は自由であることを示す力作。
▼被造物における「自発性」と「神への依存性」という矛盾する二つの根本性格は、いかにして両立しうるのか。本書は、ライプニッツ哲学の「神と被造物の関係性」、「世界創造の始源」に焦点を合わせ、哲学史上の大問題を解決することを試みる。 さらに、ライプニッツのモットー「真理は中間的である」に忠実に従って、議論を人間の実践の問題、すなわち自由論へと押し広げ、予定調和の世界にあっても人間は自由であるということを論証する。ライプニッツをスピノザ主義とみなす傾向にある今日の研究を全面的に反駁する、気鋭の研究者による野心作。

図書新聞 3337号(2018年2月3日)3面に書評が掲載されました。評者は、佐々木能章氏(東京女子大学教授)です。
週刊読書人 「哲学の根本問題に立ち向かう。『弁神論』を読み解くために」 2017年10月20日号に掲載されました。評者は長綱啓典氏です。

序章 真理は中間的である――世界創造の謎 一 無人島の少年は自分の力で生きているか――まえがきにかえて 二 「自発性」と「依存性」の問題 三 さまざまな解釈とそれらの問題点 四 外交官ライプニッツと中間者ライプニッツ 五 「中間のモットー」に従う
第一章 介入せずに介入する神――創造における神の働き 一 ライプニッツの神 二 「介入」をめぐるクラークとの論争 三 神の働きの連続性 四 妨げを取り除く神 五 神の協働
第二 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
根無 一信(ねむ かずのぶ) 1979年生まれ。2013年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。2011年、International doctoral school for Leibniz researchers 第1回日本代表。2013年、日本哲学会若手研究者奨励賞受賞。博士(人間・環境学)。現在、名古屋外国語大学、関西国際大学、大阪教育大学、日本経済大学非常勤講師。 著作に、「必然性と自由の問題――ライプニッツと共に考える」(松本啓二朗・戸田剛文 編『哲学するのになぜ哲学史を学ぶのか』京都大学学術出版会、2012年)などがある。 また、刊行中『ライプニッツ著作集 第II期』(工作舎)の翻訳にも携わる。
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