イスラエルの文化遺産マネジメント
遺跡の保護と活用
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▼文化遺産はいかに守られてきたのか。
イスラエルにおける遺跡や歴史的建造物の保護と活用をめぐるさまざまな制度の変遷と実践の両面を多角的な視点から豊富なデータで包括的、実証的に検証。
本書は、イスラエルにおける「文化遺産」――とくに遺跡や歴史的建造物――の保護と活用をめぐる法制度の変遷と実践の両面について、多角的な視点から実証的に検討した研究の成果である。 遺跡や歴史的建造物を保護・活用する「主体」にも注目し、イスラエル政府主導の事例と非政府団体主導の事例を比較検討することで、イスラエル建国以来実施されてきた文化遺産マネジメントの特徴と課題を包括的に提示する。 民族や国家間の紛争で遺跡や歴史的建造物が破壊の対象となり、宗教やナショナリズムといったイデオロギーと文化遺産の関係が注目を浴びるなか、文化遺産をめぐる価値観の衝突が頻発してきたイスラエルを対象とした本書は、文化遺産に関心をもつすべての人に新しい知見を与えてくれる画期的な一冊となる。
考古学研究 第64巻第4号(2018年3月)「新刊紹介」(p.111) に掲載されました。評者は、桑原久男氏です。
序
第T部 イスラエルの文化遺産の概要
第一章 文化遺産の定義の歴史的変遷 一 「遺産」の定義の特性 二 「遺産」の定義の歴史的変遷
第二章 イスラエル社会の重層性 一 イスラエルの特殊性 二 イスラエル国民の特殊性 三 イスラエルとパレスチナ自治区との関係
第三章 イスラエルの文化遺産マネジメントに関する先行研究 一 考古学・文化遺産の政治利用 二 宗教的イデオロギーと文化遺産 三 観光と文化遺産 四 先行研究の課題と ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
岡田 真弓(おかだ まゆみ) 北海道大学創成研究機構特任助教。慶應義塾大学大学院文学研究科単位取得退学、北海道大学アイヌ・先住民研究センター博士研究員などを経て現職。史学博士。 文化遺産のなかでも、とくに考古学に関するモノ・コトが現代社会においてどのように受容されているのかに着目し、イスラエルとパレスチナにおける文化遺産保護・活用に関する研究を行う。また、先住民族の文化遺産の保護のあり方、所有権、そして返還に関する問題について、国内外の事例を通して研究を行う。 「文化遺産の所有権をめぐるイスラエルとパレスチナの葛藤」(三宅理一監修『境界線から考える都市と建築』鹿島出版会、2017年)。
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