▼近代海軍の端緒、その13年の航跡を辿る! 軍事組織としての活動実態を、実証的に明らかにする力作。
本書は、幕末期に江戸幕府が創設した近代海軍、いわゆる幕府海軍の実態を解明するものである。 明治期以降に偏重していたこれまでの海軍研究とは一線を画し、本書では幕末期の海軍建設と、明治海軍との連続性、非連続性に焦点を当てる。 伊勢の豪商竹川竹斎、幕臣勝麟太郎(海舟)ら近世日本人の海軍認識、咸臨丸米国派遣の成果と課題、艦船運用や経費執行の状況、人事システムの構築、第二次幕長戦争における戦闘の様相、明治政府への移管など、幕府海軍の軍事組織としての活動実態を、広範な史料を駆使して明らかにする。

日本歴史 2019年2月号(第849号)(p.104〜p.106)に書評が掲載されました。評者は坂本卓也氏(佛教大学大学院文学研究科博士後期課程)です。
防衛学研究 第59号(p.79〜p.85)に書評が掲載されました。評者は門松秀樹氏(尚美学園大学総合政策学部講師)です。
史學雑誌 第127編 第8号(p.84〜p.92)に書評が掲載されました。評者は水上たかね氏(東京大学史料編纂所助教)です。

序 章 近世日本の海軍力に関する諸問題 はじめに 1 海軍と水軍 2 研究史における問題点 3 本書の構成と各章の課題 4 史 料 第一章 近世日本人の海軍認識――竹川竹斎「護国論」を中心に―― はじめに 1 竹川竹斎について 2 「護国論」における洋式軍艦導入の主張 3 海運への視点と海軍建設の方法 4 「護国後論」と「 老翁ノ勇言
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金澤裕之(かなざわ ひろゆき) 1977年東京都生まれ。防衛省防衛研究所戦史研究センター所員。 防衛大学校総合安全保障学研究科後期課程修了。博士(安全保障学)。 慶應義塾大学文学部、同大学院文学研究科で日本史を専攻した後、海上自衛隊に入隊。 機動施設隊施設隊長、海上幕僚監部施設課員などを経て、現職。 本書所収外の論文に「海軍史料の保存と管理」(『波涛』213号、2011年3月)など。
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