ブワイフ朝の政権構造
イスラーム王朝の支配の正当性と権力基盤
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▼10世紀イラン・イラク一帯に覇を称え、イスラーム史の幕間を駆け抜けた軍事勢力は、いかにして「王朝」たりえたのか “総督” アミールの台頭と権力闘争を描く一大絵巻
10世紀。カスピ海を望む峻峰アルボルズ山脈から現れた傭兵集団・ダイラム。そのつわものどもの中にあって彼らを率いたブワイフ家の三兄弟は、瞬く間にイラン・イラク一帯に覇を称え、強大な王朝を打ち建てる。 ブワイフ朝――。アッバース朝衰退期というイスラーム史の幕間に位置し、後続諸王朝に決定的な影響を与えた一族の支配と権力の構造を生き生きと描き出した好著。

はしがき 目次 凡例 本書対象地域図
序 論 T. ブワイフ朝史研究への問題設定 U. 論述内容の概略 V. ブワイフ朝史研究の大著への批判と本研究の枠組み
第1部 ブワイフ朝の政権構造と支持基盤 ―― 勃興期からアドゥド・アッダウラの死まで
第1章 ブワイフ朝君主の主導権争いと一族の紐帯 ―― イマーラ、リアーサ、ムルクの検討を中心に はじめに T. イマーラとブワイフ朝 ……
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橋爪 烈(はしづめ れつ) 1975年生まれ。千葉科学大学薬学部薬学科講師。 専門はアラブ・イスラーム史、イスラーム政治思想史。 1999年学習院大学文学部史学科卒業、2001年慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻東洋史分野修士課程修了。2002年〜2004年カイロ大学へ留学。2009年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程学位取得。博士(文学)。2008年〜2011年日本学術振興会特別研究員(PD・公益財団法人東洋文庫)を経て、2012年より現職。 主要論文は、「『王冠の書』にみるアドゥド・アッダウラの王統観」(『オリエント』第54巻第1号、2011年9月)、「『時代の鏡』諸写本研究序説」(『オリエント』第49巻第1号、2006年9月)、「初期ブワイフ朝君主の主導権争いとアッバース朝カリフ ―― イマーラ、リヤーサ、ムルクの検討を中心に」(『史学雑誌』第112編第2号、2003年2月)で、訳書に、フレッド・M・ドナー『イスラームの誕生 ―― 信仰者からムスリムへ』後藤明監訳、慶應義塾大学出版会、2014年(共訳)がある。
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