東日本大震災と特別支援教育
共生社会にむけた防災教育を
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災害が「障害を襲う」ということ 自閉症などの発達障害や、重度・重複障害の子どもたちと保護者の被災体験は、特別支援教育や防災対策に大きな課題を露呈している。 障害特性の理解・啓発、地域連携型の学校づくりをどう展開していくか。 東日本大震災の被災体験から、インクルーシブな防災教育を提言する。
障害に対する理解がなかなか得られにくい時、家族は大変深刻な「災害弱者」になることを、私は実体験を通して痛感した。(第5章より)
災害は全ての人に平等にふりかかるわけではない。障害児・者にとっては、より強く、より長く、そしてより深刻に襲いかかってくる。 命の危険や社会的不利益が少しでも減少するような社会構築のための取り組みをしなくてはならない。震災体験が浮き彫りにしたインクルーシブ社会の重要性、これは特別支援教育がめざすものである。(序章より)
はじめに
序 章 震災によって浮き彫りになった4つの脆弱性 田中真理 1 「障害」による被災の格差と特別支援教育 2 震災によって浮き彫りとなった脆弱性とは 3 特別支援教育理念は震災対応にどう活かされたか
第一部 震災が「特別支援教育」に問うたもの
第1章 震災によって顕わになった特別支援教育の課題 第1節 避難所運営における特別支援学級児童への配慮 菊地秀敏 1 高砂小学校特別支 ……
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(※〔 〕内は、担当章。) 【編著者】 田中真理(たなか まり)〔序章、座談会〕 九州大学教授。博士(教育心理学)。専門は発達臨床心理学。 九州大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。静岡大学大学院人文社会科学研究科助教授、東北大学大学院教育学研究科教授などを経て現職。 著書に『東日本大震災と社会教育』(共著、国土社、2012年)、『思春期・青年期の発達障害者が「自分らしく生きる」ための支援』(共編著、金子書房、2013年)など。
川住隆一(かわすみ りゅういち)〔第1章第2節、座談会〕 東北大学大学院教育学研究科教授。博士(教育学)。専門は発達障害学。 東北大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。国立特殊教育総合研究所(現国立特別支援教育総合研究所)重複障害教育研究部主任研究官、文部省在外研究員(ノルウェー特殊教育研究所、バーミンガム大学学校教育学部)、国立特殊教育総合研究所重複障害教育研究部第三研究室室長などを経て現職。(2016年4月より東北福祉大学教育学部教授) 著書に『生命活動が脆弱な重度・重複障害児への教育的対応に関する実践的研究』(風間書房、1999年)、『東北大学教育ネットワークによる障害児教育の相談室』(共著、ミネルヴァ書房、2000年)、『発達障害医学の進歩 No.19』(共著、診断と治療社、2007年)など。
菅井裕行(すがい ひろゆき)〔第2章、座談会〕 宮城教育大学教育学部教授。博士(教育学)。専門は教育心理学・特別支援教育・コミュニティ心理学。 東北大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。宮城県立養護学校・盲学校教諭、国立特殊教育総合研究所(現国立特別支援教育総合研究所)重複障害教育研究部主任研究官、教育相談センター主任研究官、文部省在外研究員(ロンドン大学教育研究所、ボストンカレッジ)などを経て現職。 著書に『東北大学教育ネットワークによる障害児教育の相談室』(共著、ミネルヴァ書房、2000年)、『重症児者の防災ハンドブック』(共著、クリエイツかもがわ、2012年)、『はじめての特別支援教育』(共著、有斐閣、2014年)など。
【執筆者】 梅田真理(うめだ まり)〔第3章〕 国立特別支援教育総合研究所総括研究員(2016年4月より宮城学院女子大学教授) 片岡明恵(かたおか あきえ)〔第5章〕 宮城県教育庁特別支援教育室主幹 菊地秀敏(きくち ひでとし)〔第1章第1節〕 仙台市片平市民センター・片平児童館館長 熊本葉一(くまもと よういち)〔第9章、座談会〕 NPO法人いわて発達障害サポートセンターえぇ町つくり隊代表、二戸市立福岡小学校教諭 櫻田 博(さくらだ ひろし)〔第6章、座談会〕 前宮城県立拓桃支援学校校長 佐藤 智(さとう さとし)〔第7章第2節〕 福島県立郡山養護学校教諭 佐藤 登(さとう のぼる) 〔第7章第1節〕 福島県立会津養護学校教頭 中村雅彦(なかむら まさひこ)〔第8章〕 福島県点字図書館長 野澤令照(のざわ よしてる)〔座談会〕 宮城教育大学教育復興支援センター副センター長 安田まき子(やすだ まきこ)〔第4章〕 仙台市立鶴谷特別支援学校校長
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