東日本大震災と特別支援教育
共生社会にむけた防災教育を
はじめに
序 章 震災によって浮き彫りになった4つの脆弱性 田中真理 1 「障害」による被災の格差と特別支援教育 2 震災によって浮き彫りとなった脆弱性とは 3 特別支援教育理念は震災対応にどう活かされたか
第一部 震災が「特別支援教育」に問うたもの
第1章 震災によって顕わになった特別支援教育の課題 第1節 避難所運営における特別支援学級児童への配慮 菊地秀敏 1 高砂小学校特別支援学級と高砂小学校の避難所運営について 2 衛生面への配慮 第2節 重い障害をもつ子どもの保護者の調査と手記から 川住隆一 1 保護者への聞き取り調査の実施 2 聞き取り調査結果の概要 3 保護者から寄せられた手記(事例1〜5) 4 保護者の声を受けて
第2章 重度・重複障害児・者の被災と、防災への提言 菅井裕行 1 重複障害児・者が直面した生命危機 2 子どもたちにみられた変化 3 震災発生時の特別支援教育教師と子ども 4 避難所となった学校への大学生の支援 5 学校再開とその後の子どもたち 6 被災者であり支援者であった教職員の状態 7 提言:重複障害児・者の防災
第3章 震災が子どもたちに及ぼした心理的影響 梅田真理 1 災害が子どもたちに及ぼした影響について 2 「時間」の経過に伴って 3 「失ったもの」との別れ 4 子どもたちに対するストレスマネジメント
第4章 環境整備と防災教育への提言 安田まき子 1 調査について 2 調査からみえてきた状況と課題 3 緊急時の支援として参考となる事例 4 新たな防災教育の取組み事例 5 まとめ
第二部 震災が「障害」を襲ったとき 障害のある子どもたちと家族や教師が直面したこと
第5章 避難所運営を通してみえた学校の役割 ―― 特別支援学校教師の立場から 片岡明恵 1 重度・重複障害 狩野悟君の「生きたい」と思い続けた命 ―― 医療器具が使えず命をおとす 2 学校の避難所運営を通してみえたこと 3 「災害弱者」は誰だったのか 4 震災後にみられた子どもたちの特徴的な姿(障害種別) 5 特別支援学校教職員に求められること 6 震災をきっかけに変わった保護者の考え 7 特別支援学校をどう位置づけるのか
第6章 震災に学ぶ今後の危機管理支援 ―― 特別支援学校の校長の立場から 櫻田 博 1 石巻支援学校の対応 2 石巻支援学校の課題 3 今後の危機管理の視点
第7章 特別支援教育は避難生活の「公平性」とどう向き合ったか 第1節 福島県災害対策本部の業務経験から 佐藤 登 1 県災害対策本部業務からみえた現状と課題 2 障害のある児童生徒の避難の現状と課題 ―― 保護者アンケートからみえたもの 3 災害発生時の特別支援学校の地域での役割 第2節 避難所となった特別支援学校の経験から 佐藤 智 1 避難所における公平性について 2 避難所開設と運営 3 避難所支援における公平性、特性への配慮 4 学校再開にむけた支援体制の変化と自治組織への移行
第8章 特別支援教育教師が体験した不均衡なリスク ―― 福島の障害者の震災被災と避難の調査から 中村雅彦 1 地震発生時の教師の対応 2 自助・共助・公助を生み出すための教育をどのように発信したのか 3 障害者の死亡率から読み取るものとは
第9章 震災を通して「双方向の支援」を考える 熊本葉一 1 ふたつの事例からみえてきたもの ―― 被災した自閉症児・者の報告から 2 支援とは何か――支援する側とされる側の関係 3 これからの特別支援教育が担うもの ―― インクルーシブ教育は共生の教育でなくてはならない
座談会 「障害」から問う3つの課題 ―― 共生社会、防災教育、教育復興ニーズ 櫻田 博・野澤令照・熊本葉一・田中真理・菅井裕行・川住隆一
おわりに 執筆者紹介
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