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テクストとは何か

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A5判/並製/274頁
初版年月日:2015/10/30
ISBN:978-4-7664-2280-1
(4-7664-2280-5)
Cコード:C3000
定価 2,420円(本体 2,200円)

テクストとは何か
編集文献学入門
目次 著者略歴

▼テクストを疑え!
印刷されたテクスト、検索されたテクストをより主体的に、より深く楽しく読み解くための知の技法。

一度成立したテクストは、それ自体が一人歩きして、あたかも確固とした権威をそなえているかのように錯覚させます。それらは、どれを用いても大丈夫なように見えます。しかし、テクストとはそもそも何かを意識し、心得をもって臨まないかぎり、私たちはテクストに裏切られ、使いそこなってひどい目にあうことでしょう。その結果、どんなテクストも信用できない、意味がない、などと過剰な嫌悪を抱いても、なんの得にもなりません。むしろ「テクストを疑う」という健全な態度をもって技法を培いながら、それぞれのテクストに向かっていくしかないのです。

印刷されたテクスト、情報で検索されたテクストはそのまま受け取ってはならず、読者として主体的に読み解く必要があります。そこでは、複数の接し方、読み方の可能性が現れることでしょう。しかし、相対主義に立って、どんな読みをしても構わないということにはなりません。開かれたテクストへの接近をつうじて、一定の作法にのっとった蓋然性、つまりな解釈へと進むことが、テクストを読むということなのです。

目次

序 編集文献学とは何か   明星聖子

T 古典とは何か
 第1章 西洋古典テクストの伝承と校訂
 ―― プラトン『ポリテイア(国家)』   納富信留
 第2章 著作集編集と「古典」の成立
 ―― ゲーテ『若きウェルテルの悩み』   矢羽々崇

U 聖典とは何か
 第3章 聖なるテクストを編集する
 ―― 新約聖書   伊藤博明

V 作品とは何か
 第4章 ヨーロッパ中世の俗語文学
 ―― チョーサー『カンタベリー物語』   松田隆美
 第5章 可能態としてのテク ……

著者略歴 著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。

[編者]
明星聖子(みょうじょう きよこ)
埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授(ドイツ文学)。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。
主要業績:『新しいカフカ ―― 「編集」が変えるテクスト』(慶應義塾大学出版会、2002年)、『カフカらしくないカフカ』(慶應義塾大学出版会、2014年)。

納富信留(のうとみ のぶる)
慶應義塾大学文学部教授(西洋古代哲学・西洋古典学)。ケンブリッジ大学古典学部(Ph.D)。
主要業績:『プラトン 理想国の現在』(慶應義塾大学出版会、2011年)、『プラトンとの哲学 ―― 対話篇をよむ』(岩波新書、2015年)。

[執筆者](※掲載順)
矢羽々崇(やはば たかし)
獨協大学外国語学部教授(近現代ドイツ文学)。上智大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。
主要業績:『詩作の個人性と社会性 ―― ヘルダーリンの詩「追想」』(近代文芸社、1997年)、『「歓喜に寄せて」の物語 ―― シラーとベートーヴェンの「第九」』(現代書館、2007年)。

伊藤博明(いとう ひろあき)
埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授(芸術論・思想史)。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程中退。
主要業績:『綺想の表象学 ―― エンブレムへの招待』(ありな書房、2007年)、『ルネサンスの神秘思想』(講談社学術文庫、2012年)。

松田隆美(まつだ たかみ)
慶應義塾大学文学部教授(中世英文学、思想史)。ヨーク大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。
主要業績:『ヴィジュアル・リーディング ―― 西洋中世におけるテクストとパラテクスト』(ありな書房、2010年)、『ロンドン物語 ―― メトロポリスを巡るイギリス文学の700年』(共編著、慶應義塾大学出版会、2011年)。

北島玲子(きたじま れいこ)
上智大学文学部教授(ドイツ文学)。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。
主要業績:『終わりなき省察の行方 ―― ローベルト・ムージルの小説』(上智大学出版、2010年)、『〈新しい人間〉の設計図 ―― ドイツ文学・哲学から読む』(共著、青灯社、2015年)。

井出新(いで あらた)
慶應義塾大学文学部教授(初期近代英文学)。明治学院大学大学院文学研究科単位取得退学。
主要業績:『シェイクスピア大全』(共編、新潮社、2003年)、『シェイクスピアと演劇文化』(共著、研究社、2012年)。

松原良輔(まつばら りょうすけ)
埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授(ドイツ語圏の文学と文化)。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。
主要業績:「未来に埋めこまれた過去 ―― ワーグナーとゼンパーの夢見たギリシアをめぐる一試論」(『年刊ワーグナー・フォーラム2007』、東海大学出版会、2007年)、「ヴァーグナーとグランド・オペラ ―― 《リエンツィ》を中心に」(日本独文学会研究叢書105『ヴァーグナーの舞台作品におけるドラマ性』、2014年)。

中谷崇(なかたに たかし)
横浜市立大学国際総合科学部准教授(現代アメリカ小説)。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。
主要業績:「第10章 フォークナーと南部農本主義の距離 ―― 「分かりやすさ」を欠く「大衆小説」という逆説」『アメリカ文学のアリーナ ―― ロマンス・大衆・文学史』(平石貴樹、後藤和彦、諏訪部浩一編、松柏社、2013年、296-324頁)、「ウィリアム・フォークナーとジョン・アップダイクに見る「土地の感覚」と「歴史的感覚」」『フォークナー』第15号(2013年4月):35-48頁(松柏社、日本ウィリアム・フォークナー協会刊)。

Thomas Pekar(トーマス・ペーカー)
学習院大学文学部ドイツ語圏文化学科教授(異文化間ゲルマニスティク)。近現代ドイツ文学教授資格審査合格(Habilitation)。
主要業績:“Kulturkontakte. Szenen und Modelle in deutsch-japanischen Kontexten,” hg. zusammen mit Yuichi Kimura, Bielefeld: Transcript Verlag 2015; “Flucht und Rettung. Exil im japanischen Herrschaftsbereich (1933-1945),” Berlin: Metropol Verlag 2011.

定価2,420円 (本体:2,200円)
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