ディズニーランド化する社会で希望はいかに語りうるか
テクノロジーと身体の遊戯
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いまや誰もが「ディズニーランド」の住人である 「それなりに愉しく幸福な絶望」の日常に絡めとられた私たちに、 いかなる「生」が可能なのか? 才気溢れる筆致で描く、希望のメディア論
夢と魔法の王国、ディズニーランド――。 いまや巨大複合商業施設にかぎらず、イメージと消費とが深く絡みあうポストモダンな情報消費社会には、日常のあらゆる営みに、ディズニーランド的な非日常性が演出され、浸透し、繁茂している。 ディズニーランドのアトラクションがもたらすものは利便でもなければ、生産でもなく、「愉しさ」である。アトラクションへの搭乗は、遊戯機械というテクノロジーに触れ、同期し、協調的に運動をしながら、特定の目的へ向かうことなく戯れ、そのプロセス自体において「愉しさ」が立ちあらわれるような経験である。このような運動を、本書では〈テクノロジーの遊戯〉とよぶ。 多様な欲望を無際限に喚起し、解放感や高揚感をもたらす一方で、「ここではないどこか」や「ありえたかもしれない別の様態」といった外部を想像する力を奪ってゆくテクノロジーが、社会の隅々にまで浸潤するいま、わたしたちには、いかなる生の形式が可能なのか。 才気溢れる筆致で描く、希望のメディア論。
図書新聞 第3187号(2014年12月20日)「2014年下半期読書アンケート 」にて三浦哲哉氏(映画評論・研究)の今年の3冊に選出いただきました。
週刊読書人 第3057号 (2014年9月19日)(4面)に書評が掲載されました。評者は武田徹氏です。
はじめに
第1章 ディズニーランド化する社会 1−1 「だって、愉しいから」 なぜディズニーランドへゆくのか / ビジネス書的ディズニー言説 / 人文社会科学系 の知におけるディズニーランド 1−2 シミュラークルの楽園――消費社会論と文化記号論 シミュラークルの完璧なモデル / 消費社会のディズニーランド / 東京ディズニーラ ンド開園以降 1−3 建築・都市のディズニーランド 現代建築の「最高傑作」 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
長谷川一(はせがわ はじめ) 1966年、名古屋市生まれ。千葉大学大学院中退後、書籍編集者として働く。東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程満期退学。東京大学大学院情報学環助手を経て、現在、明治学院大学文学部芸術学科教授。専門はメディア論、メディア思想、文化社会学。博士(学際情報学)。 おもな著書に、『アトラクションの日常――踊る機械と身体』(河出書房新社、2009年)、『出版と知のメディア論』(みすず書房、2003年、日本出版学会賞奨励賞)、『本は、これから』(共著、岩波新書、2010年)などがある。
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