ハロルド・ヴォーゲルのエンタテインメント・ビジネス
―その産業構造と経済・金融・マーケティング
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全米殿堂入りアナリストが贈る、「完璧主義の投資家が知りたい」エンタテインメント・ビジネスのすべて
米国で1986年に刊行されて以来、エンタテインメント・ビジネスの分析書として10版を重ねてきた超ロングセラー、Entertainment Industry Economics: A Guide for Financial Analysis, 待望の邦訳版。著者はメリル・リンチ証券のトップ・アナリストだったハロルド・ヴォーゲル。著者自分が「完璧主義の投資家が知りたいすべて、それ以上でもそれ以下でもない」と定義する業界分析のバイブルである。アナリストとしてのヴォーゲルの幅広く高度な専門性はウォルト・ディズニー社からアップルまで、エンタテインメントがその産業構造を革新する時期を支えることで培われたが、金融経済学の博士号も持つ理論家でもある。現在はニューヨークで投資顧問会社を経営、長年の功績が認められてインスティテューショナル・インベスター誌による全米選抜リサーチ・チームに殿堂入りしている。
徹底的に暴かれる利益追求の内実と非情さ、業界を知り尽くし愛する著者ならではのユーモアと裏話
驚くべきはその詳細すぎる業界の内実。トップ・アナリストだからこそ入手できた膨大なデータを駆使し、経済・金融・マーケティング理論を使って分析した内容の広さと深さは他に類を見ない。映画をはじめ音楽・放送・ケーブル・出版・玩具・ゲーム・ギャンブル・スポーツ・演劇・サーカス・オーケストラ・テーマパークに至るまで「エンタテインメント・ビジネス」の根底にある非情なまでの利益追求の実態が徹底的に暴露されている。一方で、人の心を揺り動かし夢中にさせるこのビジネスの魅力と危うさすらも、歴史や心理学、経済学的側面から鮮やかに描き出され、著者が愛する古今東西のエンタテインメント作品についてのユーモアや裏話がその考察を楽しく奥深いものにしている。
夢と利益を求めた果てにあるのはあまりにも大きな栄光と敗北、業界の特殊性すらも普遍性に転換し分析できることを証明した、業界分析に関わるすべての人々、必携の書
「本書の最大の貢献とは、我々が『業界の特殊性』と済ませてきたものを誰にでも理解でき分析できるような形で俎上に載せたことだ。こうして暴かれた特殊性はもはや特殊性ではない。この意味で、エンタテインメント・ビジネスに関わる人たちだけが本書を読むのは余りにもったいない。同じ手法を用いたならば、あらゆる業界の特殊性を普遍性に転換することができることを本書は教えてくれるからだ。」(田中洋、『日本経済新聞2013年12月8日』「この一冊」より)投資家や財務アナリスト、エンタテインメントを学び・研究する人たちは勿論のこと、経営者・会計士・法律家・ジャーナリスト・プロデューサーなど業界分析に興味のあるすべての人々、必携の書である。

日本経済新聞 2013年12月8日読書面(21面)「この一冊」 田中洋氏(中央大学教授) よりご紹介いただきました。

日本語版に寄せて 第8版への序文 はじめに
第Ⅰ部 序 論 第1章 経済学的視点 1.1 時間の概念 余暇と労働 / リクリエイションとエンタテインメント / 時間 / 余暇時間の拡大 1.2 供給と需要の要因 生産性 / 余暇の需要 / 期待効用の比較 / 人口統計と借金 / 参入障壁 1.3 基本原理 限界という概念 / 価格の差別化 / 公共財の特徴 1.4 個人消費支出の関係 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 ハロルド・L. ヴォーゲル(Harold L. Vogel) メリル・リンチ証券で17年間アナリストとして活躍し、インスティテューショナル・インベスター誌によるエンタテインメント部門・アナリスト・ランキングで10年間、第1位の座にあった。また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のオールスター・アナリスト・ランキングでもカジノ部門第1位、エンタテインメント部門第3位になるなど、エンタテインメント・ビジネスを専門とする米国3大アナリストのひとりとして、20年以上にわたりその名を馳せた輝かしい実績を持つ。現在はニューヨークで投資顧問会社を経営、長年の功績が認められインスティテューショナル・インベスター誌による全米選抜リサーチ・チームに殿堂入りしている。金融経済学博士でもあり、主な著書に、 Financial Market Bubbles and Crashes, Cambridge University Press, 2020, Travel Industry Economics: A Guide for Financial Analysis, Second Edition, Cambridge University Press, 2016など。ニューヨーク大学修士(経済学)、コロンビア大学修士(経営管理)、ロンドン大学博士(金融経済学)。
【訳者】 助川 たかね(すけがわ たかね) 岡山県立大学デザイン学部教授。慶應義塾大学経済学部卒業。在学中に劇団四季付属演劇研究所に入所。その後もイベント、ゲームなど一貫してメディア/エンタテインメント企業でプロデュースおよびマネジメント業務に携わる。コロンビア大学経営大学院在学中、カリスマ・アナリストとして知られていたヴォーゲルが母校で初めて教鞭をとった際には、その授業を受講。現在はメディアから都市デザインまでクリエイティブ産業の実務に経営理論やデザイン理論を応用する教育を展開している。コロンビア大学修士(経営管理)、ハーバード大学修士(行政管理および都市計画)。
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