日本の資本主義とフクシマ
― 制度の失敗とダイナミック・ケイパビリティ
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浮き彫りになる制度の失敗と「自縛」。
▼福島原発事故についてはすでに多くの報告・論考が様々なメディア上で発表されているが、会社論、戦略経営論の視点、さらにそれを拡大した現代の経済システムの視点から論じられたものは少ない。本書は、ケイパビリティ論など経営組織研究の先端理論を駆使して福島原発事故の発生・拡大メカニズムを描写、日本の資本主義社会を「呪縛」する根源的要因を浮き彫りにした問題作。 日本社会の再生を担う各界リーダー必読の書。
▼原発事故にいたる構造的問題に真正面から取り組んだ骨太な一冊。
週刊東洋経済 2013年2月2日号「BOOKS & TRENDS」にて書評が掲載されました(評者:奥村宏氏、117頁)。
はじめに
第1章 福島原発危機を日本の資本主義のなかに位置づける
第2章 日本の電力産業史と東京電力の戦略変化 1 原子力開発における政治的企業家と組織 2 電力産業の社会主義的性格 3 なぜ福島だったのか 4 福島第一原発建設後の東京電力の戦略変化 ――民間主導から官民協調へ 5 福島原発危機
第3章 なぜ福島原発危機はおきたのか 1 システム事故と構造的不確実性 2 福島第一原発事故による基本財毀損問題 3 一つの世界としての共有無 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
谷口 和弘(たにぐち かずひろ) 慶應義塾大学商学部教授。ケンブリッジ大学企業研究センター(イギリス)招聘フェロー。南開大学商学院(中国)訪問研究員。2010−2011年ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネススクール(イギリス)アカデミック・ビジター、2008年−2011年仮想制度研究所(VCASI)フェローなどを歴任。専攻は比較制度分析、戦略経営論、会社と持続可能性。著書に『経営原論』(培風館、2012年)、『組織の実学』(NTT出版、2008年)、『戦略の実学』(NTT出版、2006年)、『企業の境界と組織アーキテクチャ』(NTT出版、2006年)など。訳書にD.ティース『ダイナミック・ケイパビリティと経営戦略』(共訳、ダイヤモンド社、2012年近刊)、R.ラングロワ『消えゆく手』(慶應義塾大学出版会、2011年)、青木昌彦『コーポレーションの進化多様性』(NTT出版、2011年)などがある。
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