「蒐集」によって何が生まれるのか?
▼古代からルネサンスを経て近世まで美術コレクションがどのような過程で発生し、現在の形となり、成立していったのか――。 ▼コレクションとは、美術品が博物館・美術館までに到達する状態を含む。本書では、芸術家のみならず、その時代の所蔵家=権力者の動向をも研究対象とし、両者のかかわりを精査するという、きわめて歴史的な問題を扱っている。 ▼「古代・中世」「メディチ家」「イタリア・フランス・スペイン」という観点から、各時代の財産目録等の膨大な資料をもとに、「蒐集」を読み解く、美術史研究の最新成果!
はじめに 遠山公一
I 古代から中世のコレクション
古代ローマ庭園の美術コレクション ――サルスティウス庭園にみる諸問題とともに・・・・・・・・・・・・・・・小泉 篤士
都市のコレクションとしての聖遺物 ――ヴェネツィアの聖遺物蒐集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・星 聖子
ビガッロの画家の《聖ゼノビウス祭壇前面飾り》 ――祭壇装飾/聖遺物から美術品へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・金原由紀 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
[編者紹介] 遠山 公一(とおやま こういち) 慶應義塾大学文学部教授。東京大学人文系大学院博士課程中退。 主要業績:Sassetta,The Borgo San Sepolcro Altarpiece,ed. Machtelt Israëls,Villa I Tatti the Harvard University Center for Italian Renaissance Studies,Florence-Primavera Press, Leiden,2009,『ルネサンスの名画101』(共著、新書館、2011年)。
金山 弘昌(かなやま ひろまさ) 慶應義塾大学文学部准教授。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。 主要業績:『彫刻の解剖学――ドナテッロからカノーヴァへ』(共著、ありな書房、2010年)、「宮廷と宮殿――17世紀のピッティ宮における宮廷儀礼と建築の関連」(『西洋美術研究』no.12、三元社、2006年)。
[執筆者紹介(掲載順)] 小泉 篤士(こいずみ あつし) 慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程在籍・ハレ=ヴィッテンベルク大学留学中。 主要業績:「ルドヴィシの玉座の機能と南イタリア・ロクリ制作節」(慶應義塾大学修士論文、2007年)。
星 聖子(ほし せいこ) 慶應義塾大学論理と感性のグローバルセンター共同研究者、北里大学非常勤講師。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。 主要業績:「天使のまなざしの導くところ――サン・ジョッペ祭檀画の聖堂内における位置づけをめぐって」(『芸術学』(三田芸術学会)11号、2008年3月)。 A Quantitative Analysis of the Venetian Altarpieces −The Case of San Giobbe Altarpiece by Giovanni Bellini(CARLS Series of Advanced Study of Logic and Sensibility, Vol. 1,Keio University,2008).
金原 由紀子(かねはら ゆきこ) 尚美学園大学総合政策学部准教授。お茶の水女子大学大学院博士課程人間文化研究科満期退学。博士(人文科学)。 主要業績:『プラートの美術と聖帯崇拝』(中央公論美術出版、2005年、第11回地中海学会へレンド賞受賞)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(共著、東京堂出版、2007年)。
出 佳奈子(いで かなこ) 弘前大学教育学部講師。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(美学)。 主要業績:「黒死病鎮静の記念碑としてのオルサンミケーレのタベルナーコロ――ペストの来襲とその鎮静(一三四八年)から見た図像プログラム解釈」(『美術史』第164号、2008年)、「花嫁の純潔と蜜蜂の恵み――ピエロ・ディ・コジモ《蜂蜜の発見》」(上村清雄監修解説『味覚のイコノグラフィア――蜂蜜・授乳・チョコレート』ありな書房、2012年)。
西川 しずか(にしかわ しずか) 慶應義塾大学文学部助教。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程在学中。 グラスゴー大学大学院文学研究科前期博士課程修了。修士(美学)。 主要業績:Reflections from the Gems:Lorenzo de' Medici's Cameos,Intaglios and their Images(グラスゴー大学修士論文、2007年)。
佐藤 サアラ(さとう さあら) 常盤山文庫上席研究員。慶應義塾大学非常勤講師。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。乙種論文博士(美学)。 主要業績:「正徳アラビア文字装飾青花に関する一考察――その生産背景と景徳鎮窯業における位置」(『東洋陶磁』vol.32、2003年)、「米内山陶片から見た南宋官窯」(『常盤山文庫中国陶磁研究会会報4米内山陶片U』2011年)
今井 澄子(いまい すみこ) 大阪大谷大学文学部准教授。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(美学)。 主要業績:『初期ネーデルラント美術にみる〈個と宇宙〉』(共著、ありな書房、2011年)、15世紀フランドル絵画における祈禱者とヴィジョン」(『西洋中世研究』No.1、2009年)。
神谷 くみこ(かみたに くみこ) 慶應義塾大学文学部非常勤講師。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。 主要業績:「ソフト・パワーとしての宮廷芸術――ルネサンス期におけるマントヴァの事例」(『芸術のグローバル化と風土性』大阪大学美学研究室、2007年)。
細野 喜代(ほその きよ) 慶應義塾大学文学部非常勤講師。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了、博士(美学)。 主要業績:Venere e Adone di Tiziano : la scelta del soggetto e le su/e fonti (Venezia Cinquecento, XIII,26,2003).Perseo e Andromeda di Tiziano :il contesto, il soggetto e le fonti (Venezia Cinquecento, XIV,27,2004).Tarquinio e Lucrezia di Tiziano come strumento diplomatico( Venezia Cinquecento, XIX,38,2009).
小林 明子(こばやし あきこ) 東京都美術館学芸員。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。 主要業績:「セバスティアーノ・デル・ピオンボ作《アドニスの死》の主題解釈――銀行家アゴスティーノ・キージとの関わりから」(『イタリア学会誌』第58号、2008年)、「イタリア・ルネサンス時代の絵画技法に関する研究――セバスティアーノ・デル・ピオンボの石板画を中心に」(『鹿島美術財団年報』第27号、2009年)
望月 典子 (もちづき のりこ) 慶應義塾大学文学部ほか非常勤講師。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(美学)。 主要業績:『ニコラ・プッサン――絵画的比喩を読む』(慶應義塾大学出版会、2010年、第16回地中海へレンド賞受賞)、Mars et Vènus de Nicolas Poussin :Sa réception de l'art antique et de la poétique de Marino(Dix-septième sièecle, no.255,2012).
諸星 妙(もろほし たえ) 慶應義塾大学文学部、早稲田大学文学学術院ほか非常勤講師。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。 主要業績:「ベラスケス作《セビーリャの水売り》――17世紀初頭セビーリャにおけるコンベルソ問題と作品の意味」(『美術史』第165冊、2008年)、Portrait of Cristóbal Suárez de Ribera by Velázquez : its opening and the function of the gesture(AESTHETICS, no.14,2010). 大谷 公美(おおたに くみ) 明治学院大学ほか非常勤講師。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。 主要業績:Quelques réflexions sur la chronologie de L'Argent versé de Lviv「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール――光と闇の世界」展カタログ(日仏語併記版、国立西洋美術館、読売新聞社、2005年)。「17世紀前半における盲人の理解と図像表現」(平成18年度文部科学省21世紀COEプログラム「心の解明に向けての統合的方法論構築」若手研究者研究報告書、慶應義塾大学心の統合的研究センター、2007年)。
林 克彦(はやし かつひこ) 慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。 主要業績:「ピエロ・デッラ・フランチェスカ作《キリストの復活》再考――その制作年および制作背景に関する試論」(『日伊文化研究』第45号、2007年)、「ピエロ・デッラ・フランチェスカ作《聖十字架伝》の制作年をめぐる一試論」(『美学』第61巻、第1号、2010年)。
末吉 雄二(すえよし ゆうじ) 慶應義塾大学名誉教授。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。 主要業績:マリオ・プラーツ著『ペルセウスとメドゥーサ――ロマン主義からアヴァンギャルドへ』(共訳、ありな書房、1995年)、ベアト・シュトゥッツァー、ローランド・ヴェスペ監修『セガンティーニ アート・ライブラリーBis』(翻訳、西村書店、2011年)。
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