死の欲動とモダニズム
イギリス戦間期の文学と精神分析
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戦間期イギリス・モダニズム文学と精神分析の深い関係。 イギリス・モダニズム文学と精神分析が共有した言語的身振りと強度を「戦間期」という歴史的な視点を導入し読解する。それは「文学」と「精神分析」という学問的領域を攪乱することでもある。フロイトら、精神分析の言説が理論性を逸脱して破綻していくプロセスを注視し、同時代の文学言語と濃密に共振する様を描きだし、戦間期という歴史性との関わりを明らかにする。

週刊読書人 5月18日号、5面<文学・芸術>欄にて、木下 卓氏(愛媛大学教授)より書評いただきました。

はじめに
序章 破綻あるいは失敗の美学/倫理
第I部 ヴァージニア・ウルフ/歴 史 第一章 欲動の美学化とその不満 ――『ダロウェイ夫人』と「快感原則の彼岸」 第二章 ラディカルな「内部」としての「外部」 ――『灯台へ』とメラニー・クライン
第II部 ブルームズベリー/クライン/フロイト 第三章 「母」を巡るメタ心理学 ――ブルームズベリー、クライン、モダニズム 第四章 リットン・ストレイチーのクイア的自己成型 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
遠藤 不比人(えんどう ふひと) 1961年生まれ。成蹊大学文学部教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専攻は、20世紀イギリス文学・文化。 主要業績:『愛と戦いのイギリス文化史1900-1950年』(共編著、慶應義塾大学出版会、2007年)、『転回するモダン―イギリス戦間期の文化と文学』(共編著、研究社、2008年)、トッド・デュフレーヌ『〈死の欲動〉と現代思想』(翻訳、みすず書房、2010年)。
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