旅人となった詩人の「眼差し」
◎1958 年5月、瀧口修造はヴェネツィア・ビエンナーレ代表としてヨーロッパに旅立つ。ヴェネツィアでの公務のあと、パリを拠点にヨーロッパ各地を周遊、スペインではサルバドール・ダリ邸でマルセル・デュシャンと邂逅し、ベルギー、オランダ、スイスではヒエロニムス・ボスやパウル・クレーなど「幻想画家」の作品をたずねる巡礼者となる。そして戦前から交流を重ねたシュルレアリスムの指導者アンドレ・ブルトンとパリで会見を果たすまで、瀧口の旅は4ヶ月以上におよんだ。
◎旅行中、瀧口がみずからシャッターを切り、多くの写真を遺したことはあまり知られていない。その総数は1200点にも及び、現在、慶應義塾大学アート・センターに所蔵されている。瀧口自身、写真論を多数書いてはいたものの、みずから撮影した写真を発表することはほとんどなかった。今回、遺された写真のなかから184点を写真集に収録。瀧口独自の写真的感性をうかがわせる貴重な一冊となっている。
◎写真集に加えて、旅の写真一覧、瀧口綾子宛書簡集、解題、旅程を収録した「解説書」、また付録としてオリジナルプリント、「旅の手帖」と「絵葉書」のファクシミリなどをボックスに収め、旅人となった詩人の「眼差し」を克明に再現した。
特製ボックス入り(縦 400mm×横200mm×高さ45mm) ◉限定400部 [エディションナンバー入り] *ご注文の際、エディションナンバーのご指定はできません。ご了承ください。
【写真集】 イタリア、フランス、スペイン、ベルギー、オランダ、スイスで瀧口が撮影した、 独自のカメラ・アイをうかがわせる写真を多数収録。 B5判変型(縦198mm×横188mm)上製、144頁 掲載写真(モノクロ/カラー)、184点
【解説書】 瀧口の旅を詳しく知るための一冊 B5判変型(縦198mm×横188mm)並製・簡易フランス装、224頁
【付録】 ・オリジナルプリント(2L判、1枚) ・旅先からの瀧口綾子宛絵葉書 (ファクシミリ12枚) ・「旅の手帖」(パリーバルセロナ間で瀧口が使用したメモ帖) (ファクシミリ、縦135mm×横93mm) ・旅の記念品 (大判1枚、3ツ折り、約380mm×540mm)
写真集―誰かに贈りたくなる108冊(平凡社 コロ・ナブックス)(114頁)にて紹介されました。
読売新聞 2010年3月18日朝刊「記者ノート」欄で紹介されました。
出版ニュース 2009年11月下旬号「情報区」(14頁)で紹介されました。
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
瀧口修造(たきぐち しゅうぞう、1903年12月7日―1979年7月1日) 美術評論家、詩人。富山県出身。慶應義塾大学で西脇順三郎の教えを受ける。シュルレアリスムに限らず、ヨーロッパの前衛美術に関する文献を日本に多く紹介した。またアンドレ・ブルトンなどとも交流した。1938年には、阿部芳文、永田一脩、今井滋、田中雅夫らとともに「前衛写真協会」を結成。戦後は、実験工房を主催するとともに、美術評論を数多く著し、戦前に引き続き、旺盛な活動を行う。マルセル・デュシャンに傾倒。執筆活動のみにとらわれず、デカルコマニーの制作も行った。
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