歌舞伎評論家に焦点をあてることから、歌舞伎において批評とは何か(かつての「評判記」との違いは何か)、批評とは何か、歌舞伎の「芸」とはどのようなものか、そして、歌舞伎とは何かを考える。 新たな時代の状況の中で、歌舞伎の意味を根底において考えようとした、明治の三木竹二から昭和の郡司正勝・戸板康二までを取り上げて、「人間」と舞台との関わりを、問い直す。 著者は現在、日経新聞紙上で歌舞伎評を連載している歌舞伎批評の第一人者。

まえがき 序 章 劇評、時代をあらわすものとしての―何故、批評を書くのか? 第1章 團菊を知らない世代―三宅周太郎の位置 第2章 劇評の「近代」とは何か―三木竹二のしたこと 第3章 痴呆芸術論の行方―劇評家白鳥と劇通白鳥の間 第4章 エトランジェの問いかけるもの―小山内薫の焦立ち 第5章 「新歌舞伎劇」の行方―楠山正雄の苦笑 第6章 「ディレッタント」たちの光芒―小宮豊隆と木下杢太郎の撤退 第7章 歌舞伎美論の功罪―岸田劉生 ……
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上村以和於(かみむら いわお 本名・巌) 1940年東京生まれ。慶應義塾大学文学部・大学院修士(英文)修了。77年より歌舞伎批評・評論活動を雑誌『演劇界』『劇評』を中心に行う。94年より『日本経済新聞』の劇評担当。94年、第28回関西文学賞(文芸評論部門)受賞。現在、山村学園短期大学教授。著書に『歌舞伎の情景』(演劇出版社)、『演劇の季節』(関西書院)、『21世紀の歌舞伎俳優たち』(三月書房)、『新世紀の歌舞伎俳優たち』(三月書房)、『歌舞伎 Kabuki Today: The Art and Tradition』(講談社インターナショナル)など。
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