夏目漱石は、小説家である以前に、卓越した英文学者であり学界の先駆者的存在でした。当然のことながら、漱石作品にはさまざまなかたちで英文学の投影が見られます。本書は、漱石文学と英文学作品の具体的・実証的な比較文学研究として画期的な論考です。 また資料編として、全集未収録の蔵書書き入れや図書購入ノートなど漱石研究全般において重要かつ興味深い自筆資料を翻刻紹介しています。

はじめに
第一部 初期作品におけるラファエル前派文学の投影
第一章 『薤露行』とスウィンバーン詩集 ――「夢」のイメジャリーをめぐって―― 第二章 「風流な土左衛門」考 ――漱石・スウィンバーン・サッフォー――
第二部 ジョージ・メレディスと「人工的感興」
第一章 諧謔の構造 ――『サンドラ・ベロニ』と『坊っちやん』―― 第二章 蛇の女の系譜 ……
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1950年、北海道生まれ。 1973年、慶應義塾大学文学部文学科国文学専攻卒業。 1975年、同大大学院文学研究科修士課程国文学専攻修了。
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