『平家物語』がどのように解釈され、謡曲、幸若舞曲、説経、古浄瑠璃などの芸能や御伽草子の諸作品に作り変えられ、社会に受容されていったのかを検証する意欲作。最も重要な古典のひとつ、『平家物語』の分野での、芸能との関わりを中心に据えた初の研究書です。 また、中世から近世を生きた人々にとっては、歴史は芸能を通して知るものだったと推測され、本書は当時の歴史観を芸能の観点から解明する重要な試みでもあります。

はじめに
第一部 平敦盛像の成立と展開
第一章 平敦盛説話の成立背景 敦盛の出自 一の谷合戦 敦盛と業盛 熊谷説話の成立 延慶本と四部合戦状本 第二章 語り本『平家物語』における敦盛像 敦盛と笛 狂言綺語と笛 第三章 謡曲『敦盛』『経盛』『生田敦盛』 『敦盛』 『経盛』 ……
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1962年大阪市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程単位取得。 文学博士。現在、恵泉女学園大学人文学部日本文化学科専任講師、慶應義塾大学教養研究センター兼任研究員。 専攻は、中世・近世国文学、古典芸能史。著書に『柳田国男-−−日本的思考の可能性』(1996年、小沢書店)、 論文に「『天狗の内裏』と古浄瑠璃」(『鎌倉室町文学論纂』)など。
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