カフカの残した膨大な草稿・日記・手紙から、3種類の「カフカ全集」が編集されてきた。それぞれ全く異なる考え方により編集された3種類の全集を、徹底的に比較検討することによって、カフカの「作品」とは何かを問う画期的な研究書。 ドイツを中心に展開される「編集文献学」によるカフカ論です。 ドイツ文学研究者ばかりでなく、広く欧米文学愛好者へ。
第1回(2004)日本独文学会賞受賞。


第一部 「批判版カフカ全集」の意義と限界
第一章 カフカの「遺書」
第二章 マックス・ブロートの功罪
第三章 「批判版カフカ全集」の概容 《補遺》カフカの遺稿伝承史概説
第四章 『狩人グラッフス』
第五章 『城』
第二部 「史的批判版カフカ全集」の登場
第六章 十六分冊になった『審判』
第七章 「正統なテクスト」の終焉
第八章 「遺書」の意味 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
東京大学文学部独語独文学科卒業後、同大学院に進学。ルードヴィヒ・マクシミリアン大学(ミュンヘン)に学んだのち、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。1998年博士(文学)号を取得。日本学術振興会特別研究員(PD)、埼玉大学教養学部専任講師を経て、現在、埼玉大学教養学部助教授。
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