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連載

The Cambrige Gazette


グローバル時代における知的武者修行を目指す若人に贈る
栗原航海(後悔)日誌@Harvard

『ケンブリッジ・ガゼット:Lessons Learned』

第3号(2006年8月)
 

 

■ 目次 ■

 

4. 編集後記

 小誌第3号の本文は以上です。一時帰国の際の楽しみは、何と言っても冒頭で紹介したような親しい人々とグラスを傾け、また気軽に語らいつつ美味しい料理を頂くことです。勿論、日本料理も素晴らしいのですが、外国料理店のなかには驚く程質の高いレストランも数多くあります。若い方々は楽しむ機会を将来持つでしょうが、フランスのグルメ・ガイドブック『ミシュラン』で高い評価(三ツ星)を受けているパリのレストラン「ピエール・ガニェール」の東京店が昨年秋開店しました。また最近知ったのですが、リヨン近郊に在る三ツ星レストラン「ジョルジュ・ブラン」のウェブには、仏英伊西の西欧4ヵ国語に加えて、日本語の説明も付いています。正しくグローバル時代の到来を反映して、「食の世界」でも日本の逞しい消費者が、一流の料理店を求めて世界中を闊歩する時代が到来したと大変喜んでおります。この意味で、若い皆様方の多くが、食文化をはじめ海外の様々な事柄を学び、チャレンジ精神をもって世界中を駆け回られることを願ってやみません。

 私の経験では、世界に出て初めて自分が紛れも無い日本人であることを体感します。その時になって初めて、日本は何を誇りとしているのか、また逆に日本は何を改善すべきかを真剣に考え始めます。同時に、「ヒトの輪」を通じて知り合った外国人が、何を自国の誇りとしているか、また逆に自国の何を改善したいと考えているのかが幾分か理解できたような気がします。インターネット電話「スカイプ」の出現や通信業界の競争激化によて、国際間情報通信のインフラストラクチャーは着実に充実しつつあります。皆様も、こうした時代に生まれたことを感謝しつつ、その環境条件を最大限に利用して、グローバルな「ヒトの和と輪」を充実して下さい。

 技術進歩の御蔭で携帯電話がスリムになったことは良い半面、サイズが余りにも小さいが故に紛失癖を持つ私のような人間にとっては、一旦置き忘れると容易に見つけることが不可能という短所があります。6月末、米国で使用する携帯電話(残念ながら高価な国内・海外両用機種ではありません)を、日本の自宅(の何処かに)置き忘れました。成田に向う前に必死で探しましたがどうしても出て来ませんでした。このため、米国の友人から「電話が通じない」や「伝言を残しても返事が来ない」との苦情の電子メールを多数頂戴しています。そして今「携帯電話を日本に忘れたため、連絡は電子メールを中心にお願いします」と付記して電子メールで情報交換を行っております。ITがいくら進歩しても、私のようにITを活用する「ヒト」自身がいい加減では技術が生きてきません。皆様が世界から注目される「ヒト」となられて、ITを駆使される日が近いことを信じつつ、今回の「栗原後悔日誌@Harvard」を終えることに致します。

 

 

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著者プロフィール:栗原潤 (くりはら・じゅん)
ハーバード大学ケネディスクール[行政大学院]シニア・フェロー[上席研究員]
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