はじめに 栗原潤 (ハーバード大学ケネディスクール[行政学大学院]シニア・フェロー[上席研究員])著
『ケンブリッジ・ガゼット』は、過去2年間に執筆された内容を再構成し、 加筆・修正のうえ、『日本の知識戦略――ハーバードでの経験から』
として、昨年11月に刊行されました。
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編集者より |
「ボストンは不思議さと魅力とが溢れる街である。ここはワシントンのような政治の中心地でもないし、ニューヨーク、シカゴ、ロサンジェルス等、ビジネスの巨大な集積地でもない。また、その魅力の理由は単に、ファウンディング・ファーザーズが建国のためにペンと剣とを持った地であるからではない。ここは、1636年に創設されたハーバード大学をはじめ、マサチューセッツ工科大学(MIT)、タフツ大学、ボストン大学、バブソン・カレッジ等に集まる、様々なバックグラウンドを持った優秀な「ヒト」と接する機会が山積みになった土地である。また、そうした「ヒト」が携えている「情報」や「知性」に接する機会を無尽蔵に提供してくれる街でもある・・・・・・。」
2003年5月、一人の日本人研究者が、ボストン市の川向かい、ケンブリッジ市にあるハーバード大学ケネディ・スクールに移ってきました。同スクール唯一の日本人シニアフェロー・栗原潤氏の新たな研究生活が、ここから始まります。
同校で、栗原氏は「研究者・企業家・政治家・官僚といった垣根を越えて優れた知性の持ち主たちが集まり、議論し、新たな知見を生み出し、それが個々人相互はもちろん、米国の企業、社会、国家をも変革していく過程――米国のダイナミックな知識戦略形成過程――」を間近に観察してきました。そして、その「感動や驚きを(反面では危機感をも)日本の皆さんに伝えたい」という思いから生まれたのが、この『ケンブリッジ・ガゼット(The
Cambridge Gazette)』です。 『ガゼット』には、ハーバード大学を主な舞台に、日米中関係のカンファレンスや同校研究者による最新レポートの内容、ワシントンをはじめとする米国の政治経済動向、文化交流、さらには美食家を自負する著者のグルメ・エピソード等々が、生き生きと紹介されています。
当社では、この『ガゼット』をもとにした『日本の知識戦略―ハーバードでの経験から』刊行 (2005年11月刊行)を機に、栗原氏より『ガゼット』バックナンバーの転載許可をいただき、当社ホームページを通して皆さまにご紹介致します。
21世紀は、「知」が競争力の源泉となる時代だと言われます。本誌をご覧になって、「日本の企業が、国家が、そしてもちろん、私たち一人一人が、『知的誠実さ』と『知的強靭さ』を基盤とする『知識戦略』を構築しなければならない」という著者のメッセージを、また日本の若い方々への温かいエールを、感じ取っていただければ幸いです。
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