憲法主導権を握るのは誰か
諸々の分断に苛まれるアメリカ。 司法にも党派的分断の疑いがかかる。 いかにして法の支配を維持するのか。 自己裁量統制の裏に潜む司法の思惑とは。 パワーゲームに翻弄されながらもしたたかな 憲法戦略を実践する司法の姿を描き出す。
現在のアメリカは深刻な政治的分断に苛まれている。「憲法的ハードボール」と呼ばれる強硬手段の応酬によって、連邦最高裁の判断にも強い党派性の疑いが向けられている。民主的正当性に欠ける司法は、いかにして法の支配を維持するのか。最高裁は「司法ミニマリズム」や「歴史と伝統のテスト」といった自己抑制や自己裁量統制の体裁をとりつつも、「シャドードケット(緊急決定)」を多用し、他権力の権限を減殺し自らに権力を集中させる思惑が潜んでいる。パワーゲームの中で、憲法価値を実現する「漸進的司法積極主義」という、したたかな憲法戦略を実践する司法の姿を描き出す。

はじめに
序 章 前提状況 1 連邦最高裁の現在 2 ロバーツコートとロバーツ長官のマネジメント
第1章 司法をめぐる政治状況 序 T 「司法と政治」の意味 1 法と政治/2 司法政治/3 司法と政治 U 連邦最高裁裁判官数の変容 1 任命プロセス/2 裁判官数の変遷 V コートパッキングの試み 1 唯一の成功例/2 ニューディール期コートパッキング/3 バイデン政権における連邦最高裁改革プラン W 事実上の問題と憲法上の問題 1 事実上の問題/2 憲法上の問 ……
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大林啓吾(おおばやし・けいご) 慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大学大学院法学研究科公法学専攻博士課程修了。博士(法学)。 千葉大学大学院専門法務研究科教授等を経て、2022年より現職。ペンシルベニア大学ロースクール客員研究員(2017-2019年)。 専攻は憲法。 著書に『アメリカ憲法と執行特権――権力分立原理の動態』(成文堂、2008年)、『憲法とリスク――行政国家における憲法秩序』(弘文堂、2015年)などがある。
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