民主主義体制における政府や政治家の行動を理論化した「政治経済学」の中級テキスト。 「良い政府」とは何か? この問題を考えるすべての人にヒントとツールを与える。
国民は選挙を通じて自らが望む政策を実現する政治家をどう選び、正しく政策を実行させるかという民主主義の基本問題の理論モデルが、これまでの政治学には存在しなかった。経済理論を用いてこの問題を分析するのが「政治経済学」である。本書はこの分野の第一人者が、自らの研究等を踏まえて整理したテキスト。
日本語版への序文 序文
第1章 理想的な政府に関する争点 1.1 政府についての二つの見解 1.2 本書の概要 1.3 背景にあるテーマ 1.4 経済政策の基礎原理 1.5 政治経済学の歴史 1.6 政治におけるインセンティブと選択の重要性 1.7 結び
第2章 政府の失敗を解剖する 2.1 はじめに 2.2 政府の失敗の三つの概念 2.3 公共プロジェクトへの資金調達の例 2.4 「政府の失敗」の原因 ……
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ティモシー・べズリー [著] ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)教授(経済学・政治学)、及び、W・アーサー・ルイス開発経済学教授。オックスフォード大学卒業後、同大学にてDPhil(Economics)取得。2018 年にSir の称号を授与される。専門は、開発経済学、政治経済学、公共経済学など幅広い分野にわたっている。アメリカン・エコノミック・レビューなどのトップジャーナルに論文多数。本書以外の著作に、Pillars of Prosperity: The Political Economics of Development Clusters, Princeton University Press, 2011(Torsten Persson との共著)がある。
溝口哲郎(みぞぐち・てつろう)[訳] 高崎経済大学経済学部教授。慶應義塾大学経済学部卒。オタワ大学でPh.D.(Economics)取得。専門は、公共経済学および応用ミクロ経済学、腐敗の経済分析。著書に『国家統治の質に関する経済分析』(三菱経済研究所)、著作に“Amakudari: The Post-Retirement Employment of Elite Bureaucrats in Japan,” Journal of Public Economic Theory, 14(5): 813–847(N.V. Quyenとの共著)などがある.
下松真之(くだまつ・まさゆき)[解説] 東京大学教養学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)でPh.D.(Economics)を取得。ストックホルム大学国際経済研究所(IIES)や大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)で教鞭をとる。アフリカ諸国の乳児のマイクロデータを用いて民主主義の乳児死亡率への影響を推定した論文と、中国共産党幹部の履歴書データを用いて昇進にはコネと実績の両方が必要であることを実証した論文をJournal of the European Economic Association に掲載。2019 年に退職後、UXデザインやWeb エンジニアリングを独学し、現在、エクスポート・ジャパン株式会社に勤務。
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