高成長期中国の経済・産業構造の再検証
改革開放以降,社会主義市場経済へと舵を切った中国は,WTO加盟を果たし,「世界の工場」さらに「世界の市場」へと昇り詰めていく。しかし,その深層における成長要因は何だったのか? 本書は,この問いに答えるべく,精緻な実証分析により労働・資本・生産性それぞれの経済成長への貢献を明らかにする。 不透明さを増す中国経済の今後を見通すべく,その基底と構造を解明する一冊。

『アジア経済』 第65巻第4号(2024年12月)「書評」(p. 109−114)に書評が掲載されました。評者は、梁涛氏(アジア経済研究所開発研究センター)です。

第1章なぜ全要素生産性なのか 1 全要素生産性とは何か 2 「中所得の罠」とイノベーション 3 中国の経済成長とTFP 4 本書の研究方法とデータソース 第2章 労働投入の推計 1 労働投入量の推計 2 出稼ぎ農民工の労働投入 3 労働サービスの推計 4 労働投入の質的変化の分解 第3章 資本投入の推計 1 資本ストックについて 2 データの作成 3 資本ストックの推計結果 4 資本サービス推計の方法論 5 資本投入の推計結 ……
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孟若燕(もう じゃくえん:Ruoyan Meng) 元慶應義塾大学商学部教授 1956年中国北京市生まれ。1983年北京大学(第一分校)図書館情報学部図書館自動化専攻卒,同年中国科学院図書館実習研究館員を経て,中国科学院計算センター(現中国科学院コンピューター・ネットワークセンター)実習研究員。1987年来日。1991年慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了,1994年同研究科博士課程修了,1995年同課程退学,博士(2007年)。1995年慶應義塾大学商学部専任講師,担当科目は中国語,中国経済論。2001年助教授,2014年教授,2022年退職。2001〜2003年JCIF(国際金融情報センター)特別研究員,2004〜2006年ハーバード大学経済学部,China Project訪問研究員を兼任。 主要業績:“Measuring Mark-up Ratios for China’s Manufacturing Industries,” Keio Business Review, No.53-2, 2018, 「中国産業別資本投入の推計(1)」(『三田商学研究』第55巻第2号, 2012年), 「中国鉄鋼業における修正された全要素生産性の測定」(『三田商学研究』, 第49巻第2号, 2006年), 「東アジア鉄鋼業の発展と大気汚染問題」(赤川元章・唐木圀和編著『東アジア経済研究のフロンティア』慶應義塾大学出版会, 2004年)など。
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