小説は、わかってくればおもしろい
文学研究の基本15講
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自由に読むには、修業がいる。
テクスト分析のポイントを知る。資料を探す。 〈あなたらしく〉と〈客観的〉はレポートで両立する!
文学作品は、想像力を働かせて自由に読んでいいと思うことに慣れているので、その過程について十分な検討がなされず、読み解きは、センスによると思われがちです。(中略)でも、文学を読むには、確実に技術が必要です。技術というと入試のテクニックのようなものを思い浮かべがちで、こんどは自分の感じ方や生き方とどうつながっているのかわからなくなりますが、意外なことに、自由に読むためにこそ、練習が必要なものです。本書は、そうした練習を行ってみようとするものです。 (「はじめに」より)

図書新聞 第3404号(2019年6月22日号)4面に書評が掲載されました。評者は武内佳代氏(近代日本文学研究者)です。

はじめに レポートに必要な〈客観性〉って何?/文学研究は、案外難しい/本書の構成と使い方
第一部 テクストを読むとはどういうことか(実践編)
第1講 作者が偉く見える小説の作法――志賀直哉『小僧の神様』(一九二〇年) 「変に淋しい、いやな気持」を考える/階級格差の物語/二項対立を整理する/見ている のは/語っているのは誰か?/語り手・テクスト・焦点化/名前(呼ばれ方)に注目する/ 作者が〈神〉になるのは、テクストの指示による ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
小平 麻衣子(おだいら まいこ) 専門は近代日本文学。慶應義塾大学教授。博士(文学)。文学におけるジェンダーやセクシュアリティを、さまざまなメディアや文化の広がりのなかで研究している。 著書に『女が女を演じる――文学・欲望・消費』(新曜社、2008年)、『21世紀日本文学ガイドブック7 田村俊子』(共著、ひつじ書房、2014年)、『夢みる教養――文系女性のための知的生き方史』(河出書房新社、2016年)、編著に『文芸雑誌『若草』――私たちは文芸を愛好している』(翰林書房、2018年)、論文に「林芙美子・〈赤裸々〉の匙かげん――『放浪記』の書きかえをめぐって」(『早稲田文学』2017年9月)など。
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